LOVE:牛鍋
一年を締めくくった悶絶必至の牛鍋定食
石川|犀与亭
2015年、あちこちのレストランで恋に落ちまくったけれど、年の最後に落ちた恋はとっても深く激しいものだった。写真を見ては思い出し、「ふふふ」と微笑んでしまうほどだ。恋ってそういうものですよね。
またまた旅先のお話で恐縮だが、多忙な師走に強行スケジュールで出掛けた金沢~富山の旅でその出会いはあった。とにかく行程が過密で、新幹線を飛び降りてとりあえず前回の勝手に金沢特集でもご紹介した「フルーツむらはた」に駆け込み、洋なしの「ル・レクチェパフェ」を注文。
しかし、洋なしの実をひとつひとつまぁるく繰り抜いて作るこの贅沢なパフェは、かなり時間がかかるメニューで、待っている間に近江町市場の「北形青果」で五郎島金時を自宅に送りつけるくらいの時間はゆうにあった(このさつまいもも毎年なんらかの手立てで買い置きする大のお気に入り)。
パフェを平らげたら、アイドルタイムもやっている牛鍋店でランチを、というアテンドだったので、即、車に乗せてもらって移動。「むらはた」で時間をとってしまったので、運転者の指示に従って「これから行くので牛鍋の中サイズとごはんふたり分お願いしまーす」と電話を入れる働き者旅行者。ここではまだ、「牛鍋ってすき焼きとどう違うの~?」という軽い気持ちでいた。
実は「犀与亭」に行くのは2回目だ。5年ほど前に、夜のすき焼きをお目当てに出掛けたことがある。明治創業のすき焼き店で、精肉店が母体なので、リーズナブルに上質な肉のすき焼きが食べられる、と聞いてうかがった。庭園がある立派な日本家屋はすべて個室。松竹梅とあるすき焼きのどれを注文したかは失念してしまったが、素晴らしいすき焼き、そしてごはんもうどんも楽しんだものである。
2016.01.13(水)
文・撮影=北條芽以