味噌煮込みうどんでご飯をかき込みたい欲望に

 2軒目の「まことや」は、鶴舞線川名駅から徒歩約12分の場所にある。店内は常に満席で、次から次へと客がやってくる。

 「まことや」のオススメは、プリリと弾けるえび天が載った、「えび玉子」(1,120円)か、それに鶏肉を参加させた「親子味噌えび」(1,220円)である。

 この店の汁は、辛い。パンチが効いている。恐らく若い味噌を使っているのではないだろうか。

 魅力はうどんである。よれたうどんは、コシが強く、20回ほど噛んでようやく口の中で消えていく。

コシの強いよれたうどんが旨い。

 このうどんの凛々しさと味噌の辛さが、実によく合う。「ミッソーニ」のように、汁を飲み干すタイプではないが、味噌煮込みうどんでご飯をかき込みたいっという人には、こちらの方がいいだろう。

 食べながら「ああ、ここにご飯をぶち込みたい」という気持ちがむらむらと湧き上がり、すんでのところで「すいません小ライスください」といってしまうところだった。よく我慢したと思う。

 なぜ我慢をしたかといえば、友人に連れられて、ハシゴしていたからである。「味噌煮込みうどんなぞ、あんな味の濃いものハシゴ出切るわけがない」と、当初は思っていたが、意外であった。

 優れた味噌煮込みうどんは、ハシゴが出来るのである。

まことや
所在地 愛知県名古屋市昭和区檀渓通4-14
電話番号 052-841-8677
アクセス 名古屋駅からは一度乗り換え、名古屋市営地下鉄鶴舞線川名駅まで約20分。駅からは12分ほど。駐車場もあり

マッキー牧元(まっきー・まきもと)
1955年東京出身。立教大学卒。(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く。「味の手帖」 「銀座百点」「料理王国」「東京カレンダー」「食楽」他で連載のほか、料理開発なども行う。著書に『東京 食のお作法』(文藝春秋)、『間違いだらけの鍋奉行』(講談社)、『ポテサラ酒場』(監修/辰巳出版)ほか。

Column

マッキー牧元の「いい旅には必ずうまいものあり」

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く「タベアルキスト」のマッキー牧元さんが、旅の中で出会った美味をご紹介。ガイドブックには載っていない口コミ情報が満載です。

2016.03.17(木)
文・撮影=マッキー牧元