ひとつ鍋を囲む楽しさは、今も昔も変わらない。東京の下町には、長い歴史の中で磨かれた名物鍋が、今日も多く残っています。気分も改まる年末年始、古きよき味を受け継いだ、伝統の鍋料理を食べに出かけ、日本の食文化に思いを馳せてみたいもの。
そこで今話題がいっぱいの東京下町エリアで食べられる、リュクスな鍋料理を4回に渡って紹介。今回は[両国]の軍鶏鍋。
軍鶏鍋/かど家(東京・両国)
鬼平が好んで食べた軍鶏鍋のモデル
その昔、両国のあたりに鳥市場があったため、界隈には鳥料理屋さんが多く残る。現在は、地鶏と軍鶏をかけ合わせた品種を使用。鳥料理2品に味噌鍋で7,350円。3代目が考案したスープ煮の鍋もあり選択可。皿の左下が鶏皮、その右側が内臓。ももと胸は交互に盛ってある。
池波正太郎の「鬼平犯科帳」の作中で最も登場回数が多いのが「五鉄」と名付けられた軍鶏鍋店。その原型となったのが、両国橋のたもとに文久2年に創業したこちら。初代が尾張名古屋の出身だから、八丁味噌仕立ての鶏鍋が名物。だしのなかにたっぷり八丁味噌を溶き、鶏皮、レバー、ハツ、砂肝をくつくつと煮、続いて焼き豆腐や野菜とともに、もも、胸肉を煮ながら食べる。「濃い味噌の色に皆さん驚かれますが、意外なほどあっさり。必ずまた食べたくなるとおっしゃいます」とは6代目女将。美食家の池波正太郎を虜にしただけのことはある。
【ぶらり寄り道!】
合羽橋道具街で美しい南部鉄鍋を
日本が誇る伝統工芸、南部鉄鍋。熱の伝わり方がやわらかなので、これで調理するとおいしさが違うと、あらためてその実力が評価されている。明治41年の老舗「釜浅商店」では、さまざまな特製鉄鍋を用意。
電話番号 03-3841-9355
URL http://www.kama-asa.co.jp
かど家
所在地 東京都墨田区緑1-6-13
電話番号 03-3631-5007
営業時間 17:30~22:00(土曜~21:30)
定休日 日曜、祝日
※ 要予約、カード不可
photographs:Setsuo Sugiyama / Akinori Maekawa
text:Hiroko Komatsu / Shojiro Yano
Special Thanks:Kyushu tourism promotion organization