ひとつ鍋を囲む楽しさは、今も昔も変わらない。東京の下町には、長い歴史の中で磨かれた名物鍋が、今日も多く残っています。気分も改まる年末年始、古きよき味を受け継いだ、伝統の鍋料理を食べに出かけ、日本の食文化に思いを馳せてみたいもの。

 そこで今話題がいっぱいの東京下町エリアで食べられる、リュクスな鍋料理を4回に渡って紹介。今回は[両国]のちゃんこ鍋。

» 第1回 あんこう鍋
» 第3回 すき焼き
» 第4回 軍鶏鍋

ちゃんこ鍋/ちゃんこ川崎(東京・両国)

頑固一徹のこだわりが今も生きる

 ちゃんこ鍋は、手をついたら負けになる力士が、四足の豚や牛を嫌って、鶏のスープで作るソップ炊きが基本。生のガラをじっくりと6時間煮てとったスープを醤油と酒少々で味つけ。鍋の前にお通しと、もつのたれ焼きなど焼き物3品、とりわさがついた鍋コース1人4,940円

 澄んだ鶏スープのなかで、たっぷりの野菜や油揚げと、もも肉、砂肝、レバーをぐつぐつと煮るちゃんこ鍋。「力士上がりの祖父が、昭和12年にちゃんこ屋を始めて以来、ほとんど作り方を変えていません」と3代目主人は胸を張る。ひと口含めば、深い滋味をたたえたスープが体中に染みわたる。鶏の質や鮮度はもとより、油揚げや白滝も下町のなじみのお店に頼むなど、素材へのこだわりも強い。また、酒類は焼酎やワインは置かず、清酒「白雪」の樽酒のみ。戦後すぐに建てられた木造建築に、力士の看板が目印。必ずや足を運ぶ価値がある名店だ。

入れ込みの座敷も風情たっぷり。つなげて大人数にも対応

【ぶらり寄り道!】

蔵前に誕生した食と健康の楽しいお店
 好きなものを喰っても呑んでも一生太らず健康な玄米生活を提案する「結わえる」が新店をオープン。店内には、一膳飯屋や酒場のほか、各地の食材や無農薬野菜を販売するスペースも。「結わえる商家」
電話番号 03-5829-9929
URL http://www.yuwaeru.co.jp

ちゃんこ川崎
所在地 東京都墨田区両国2-13-1
電話番号 03-3631-2529
営業時間 17:00~21:00
定休日 日曜、祝日

photographs:Setsuo Sugiyama / Akinori Maekawa
text:Hiroko Komatsu / Shojiro Yano
Special Thanks:Kyushu tourism promotion organization