LOVE:牛かつ
信頼できる“揚げ手”のいる専門店

牛かつ壱弐参|秋葉原

 暑かった夏も終わりを迎えようとしているが、この夏いちばん暑かった日を挙げろと言われたら、「あの日!」と即答できる。そもそも私は暑さがなによりも苦手。なので毎日暑い暑いとヘタっているのであるが、その中でもぶっちぎりで暑かったのがあの日なのだ。

 それは秋葉原を訪れたあの日。私の仕事場は秋葉原の隣町。徒歩圏内なのだが、特に暑い時期はついつい足が遠のく。なにしろ暑い街という印象があり、レストランも少ないので仕事で訪れる機会もあまりない。その秋葉原に、カンカン照りのお盆明けのランチに訪れたのは「牛かつ専門店」ができたという噂を聞きつけたためだ。

 目的地に近づくにつれ、私は目を疑った。「なにかゲームの発売日でも?」「アイドルの握手会??」という長蛇の列があるではないか。並んでいるのはいかにも秋葉原で遊んでいる人たちで、しかもオープン前の時間! せっかく暑い中たどり着いたし、たまには行列に並んでみようと思って最後尾へ。その時点で20人くらい並んでいたかもしれない。しばらくして行列は動き出したのだが、1回転目に入り込むことはできなかった。そしてうしろを振り向けば、人! 人! 人! ほんとに50人くらいはいたかもしれない。いやー、こんな行列に参加したのはなんのとき以来だろう。記憶にない。日傘をさして、ミネラルウォーターを片手に、ひんやりシートをあちこちに当てても、立っているだけで汗がぼたぼた。洋服の中を汗がつたうのがわかるくらい汗をかいた。

麦ごはんは1回までおかわり無料。白いごはんのセットもあるが、夏バテにとろろはうれしいもの

 このままだと熱中症になるかも~っ! とクラクラしたその頃にようやく店内へ。いやはや危ないところでしたよ。クーラーの効いた店内、ひとりなのでカウンターへ。目の前で揚げているけどしっかりガードされていて非常に清潔&涼しかった。

 オープンしたてでキャンペーン中、1300円が1000円になっていた「牛ロースかつ 麦とろセット」を注文。なにしろ、背後の灼熱地獄に人々が待っていると思うと流れを乱せないというのもあった。ほぼ全員がこれを頼むので、回転が早い。

 私の注文時は2回転目の頭だったので厨房にはほんのつかの間の余裕があった。ここで感心したのが、揚げ場の彼はそのあと何十人もが頼むであろう牛ロースかつを決して揚げ置きしなかったこと。一瞬で揚がるものでもないのに信頼できる揚げ手である。

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2012.09.12(水)