vol.05 名古屋
名古屋の名店はどれも繁華街にはなく、駅から遠い
美味しいものを求めて名古屋に来た。
と書くと、多くの東京人は首をひねる。
名古屋名物を思いつくままにあげてみよう。ひつまぶしにえびフライ。味噌カツに味噌煮込みうどん。鉄板ナポリタンにあんかけスパ。小倉トーストにシロノワール。台湾ラーメンにカレーうどん。きしめんに手羽先唐揚げ。天むすにういろう。
どちらかというと味が濃い炭水化物系料理が多い。だから、名古屋の食をなめている人が多いのである。
しかし僕は違う。名古屋に行くと思うだけで、よだれが出てくる。この地には、日本一だと言って疑わない、小料理屋と創作割烹の店があるし、東西で一、二を争う和菓子屋もある。独自の世界を切り広げているフレンチもあれば、肉焼き名人がいるイタリアンもある。中国料理も寿司もバーも、とんかつも秀でた店がある。
このコラムでは、後々そんな店たちのご紹介をしたいが、今回は、「味噌煮込みうどん」である。
味噌煮込みうどんといえば、東京にも進出した有名店を思い浮かべる人もいようが、今回は地元の人がこよなく愛する2軒の店である。ただし、2軒とも繁華街にはない。駅からも遠い。名古屋の名店とされる店は、いずれもこの条件下にある。
だから名古屋でおいしいものを食べようと思ったら、前後の時間をたっぷりとって、タクシーを飛ばすか、レンタカーを借りるか、ひたすら歩く。これが名古屋美食巡りの鉄則なのである。
2016.03.17(木)
文・撮影=マッキー牧元