vol.33 台北(2)
前回は、充実した台湾朝飯事情を堪能した。しかしその感動をいうと、「いやまだ甘い。僕の行きつけに連れて行こう」というご仁が現れた。欧米人以外で初のバリスタチャンピオンとなった、台湾人、James Chen氏である。
最初に訪れたのは、路地に佇む屋台であった。ベンツ、レクサス、ポルシェ。なぜか高級車が通り抜ける路地にある。高級車は時折前に停まって、テイクアウトする。しかしその麺料理は、一杯100円である。
店名もない。注文が入るとおばちゃんが、それぞれ注文の肉を切り、米粉麺とスープが入った鍋で温め、取り出し、麺とスープを入れ、揚げ葱を乗せ、肉を別皿に盛る。
この作業が、営々と続けられている。肉を茹で置きにしないのが、店の特長で、そのため肉から味が抜けてない。スープに入った芹菜(中国セロリ)が、なんとも素敵な香りのアクセントをつけ、ほんのりと甘いスープを引き締めている。
肉は、最初がレバー周りの肉、次がハツと唇周りの肉の盛り合わせ、そして腸の盛り合わせ(大腸、小腸、直腸)を注文した。
中でも唇周りが面白い。コラーゲン質のプルンとした食感と、ふんわりと歯が包まれる肉の食感が入り交じって、噛み締めた瞬間に、なにかいけないものを噛んだ気分になる。
2018.09.25(火)
文・撮影=マッキー牧元