パリンとした皮と肉あんの
マリアージュ

 その店、「青島豆漿店」にも、熟練の焼き職人がいた。

 焼いている職人の目力が凛々しい。肉餅担当の父は、常に焼き具合に目を凝らし、取り出しては位置を変え、取り出しては裏返す。それを延々と続けている。

 「肉餅」は、焦げ工合が均等で、パリンとした皮と、噛み応えのある肉あんとの対比が美しい。

 息子が作る「野菜餅」も、表皮がパリンとしているが、より軽く、割って見れば、上質のクロワッサンのように、何層にもなった生地と空洞が浮かび上がる。

 決していい油を使っているわけではないが、油っぽさは微塵もない。甘い味付けの「甜餅」も、密かに入れられたアミの塩気が、緩やかにうま味を膨らましている。

 生姜が効いた「大根餅」、卵を挟んだ「焼餅蛋」も楽しい。

 あとは、昔ながらの微かな焦げ臭が漂うシンプルな豆乳スープの「鹹豆漿」を頼み、餅と交互に食べるのを楽しむだけである。あるいは、たっぷり油條を浸して食べてもいい。

 豆の香りが身体に満ちて、静かな朝から賑やかな昼へと頭が巡る。

 しかし満腹団はコレでは終わらない。今朝もついに4軒目に突入である。

2018.09.25(火)
文・撮影=マッキー牧元