〈15年間ともに過ごした愛猫が突然、病気に…「1週間持たないかも」「涙が止まらない」元NHKアナ・住吉美紀(52)が経験した“ネコの介護”〉から続く
今年で52歳を迎えたフリーアナウンサーの住吉美紀さん。NHKを退社してフリーに転身し、ヤバすぎる元カレとの恋愛、心が乾き切った40代での婚活、壮絶な不妊治療などを経験してきた。
そんな住吉さんが自身の経験を赤裸々に綴った著書『50歳の棚卸し』(講談社)を上梓し、反響を呼んでいる。ここでは同書より一部を抜粋し、住吉さんが経験した愛猫・さとみ(通称さとちゃん)の介護と別れを紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
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「少しでも食べてくれそうなものを」手を替え品を替え看病の日々
獣医師さんには「とにかくまずは体力回復です。療養食でなくてもいい、食べたがるものを、吐かずに食べられるだけ食べさせてください」と言われた。
言葉が通じないさとちゃんに食べてもらうには、とにかく、食べたいと思えるものを、食べたいと思える環境で与えるしかなかった。ネコの餌を扱っている都内のお店を、リュックを背負って回り、少しでも食べてくれそうなものを探しては、次から次へとあげてみた。
最初は固形物はまったく食べられず、大好きなササミを茹でた、その茹で汁をスープのように飲ませ、ペースト状のおやつを少し舐めさせた。
数日すると少しずつ食べられるものが増え、缶詰フードも舐めるようになった。ひとりでは食べられなくなっていたので、すべて介助をして食べさせた。3~4グラムずつ盛り付けた小皿を何度も何度も口元に近づける。
フードを冷やしたり温めたり、お皿をクルクル回したり、背中を撫でて「もう少し食べようね」と励ましたりしながら、手を替え品を替え、食べさせた。
腎臓機能が著しく落ちたため、輸液剤の皮下点滴も始めた。夫と二人がかりで、首の後ろの皮膚のたるみに針を刺し、注射器のようなポンプで朝晩2回、水分を補給した。
さとちゃんの「まだ生きるんだ」という意志…介護中心の生活にシフト
懸案の1週間が過ぎた。さとちゃんはなんとか持ってくれていたし、ほんの少しだけ、数値がマシになっていた。
「今は食べているから持っている、という状態です。そもそも、この数値でよく食べられていますね、びっくりです。さとちゃん、エライね!」と獣医師さん。
確かに、さとちゃんからは「まだ生きるんだ」という意志を感じた。ネコは痛いとか苦しいとか言葉にできないからこそ、一緒にいる人間が状態を察してあげるしかない。さとちゃんは肉体的にはとてもしんどそうだった。腎臓は一度壊れると元に戻ることはなく、完治することもない。
しかし、私を見つめるさとちゃんの目には、ずっと力があった。きっともう少しできることがある。そう感じて、私は完全に、さとちゃんの介護中心の生活にシフトした。
