モダンベトナミーズで新時代のフォーを

 レストランでお奨めは、モダンベトナミーズの「THE SLANTED DOOR」。

滋味深い、新時代のフォー「フォーガー」。

 「フォーガー」のスープは、うまみが静かで、鶏の滋味が出しゃばりすぎず、脂もきれいにのぞかれている。後からゆっくりとうまみが膨らんでいく、実に滋味深いスープである。具は、しっとりと鶏のうまみを宿した茹で鶏、揚げたエシャロットと玉葱。添えられた香り高いミントにみずみずしいもやし、青唐辛子にライム。幅広と細麺が選べる麺は自家製だろう、しなやかで麺の幅が一定ではない。まさに新時代のフォーである。

 その他、サフランが隠し味に使われたベトナム風クレープ(中のもやし、豚肩肉、海老の質もいい)。紫キャベツ、ヒカマ(大根のような食感の野菜)、グレープフルーツ、人参、砂糖でコーティングしたピーカンナッツによるサラダ「グレープフルーツとヒカマのサラダ」などがお奨めである。またオリジナルカクテル各種も、目の覚めるような味わいである。

「グレープフルーツとヒカマのサラダ」。

 およそ150席は満杯。それなのに料理の運ばれるタイミングの迅速さ。スマートでフレンドリーなサービス。客単価は昼で推定60~80ドルだが、数回転するという。こんな店は日本にはない。

 その他グロサリー、和食惣菜店、中国茶店、パティスリー、ピッツァ店、肉屋、シャルキュトリーなど、どの店もオーガニック意識の高さとモダンなセンスで貫かれ、一日いても飽きることはない。石鹸、タオル、香水、木製小物など、お土産をここで選ぶのも賢い選択だろう。

THE SLANTED DOOR
URL http://www.slanteddoor.com/

<サンフランシスコ>

 一年中、温暖な気候に恵まれ、年間の晴天の平均が300日という、ほとんど雨が降らない都市。もっとも夏の間は水温と外気温の差により霧が発生することから、「霧の町」ともよばれる。1769年にスペインに偶然発見されたのがサンフランシスコの始まり。そしてカリフォルニアは、1850年に31番目の州としてアメリカ合衆国に併合された。その後、ゴールドラッシュで町は発展、ヒッピーをはじめとするカウンターカルチャーもここから起こり、いつの時代でも新しい情報を世界へ発信する都市として知られている。国際色豊かな3000以上のレストランがあり、美食の都市としても有名。

 日にちを限定しないならば、サンフランシスコへの往復運賃最安値は5万円台(「スカイスキャナー」調べ)。お気に入りのレストランの予約を取ってから、旅行の計画を立てるというのも、楽しい旅のひとつの方法だ。

マッキー牧元(まっきー・まきもと)
1955年東京出身。立教大学卒。(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く。「味の手帖」 「銀座百点」「料理王国」「東京カレンダー」「食楽」他で連載のほか、料理開発なども行う。著書に『東京 食のお作法』(文藝春秋)、『間違いだらけの鍋奉行』(講談社)、『ポテサラ酒場』(監修/辰巳出版)ほか。

Column

マッキー牧元の「いい旅には必ずうまいものあり」

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く「タベアルキスト」のマッキー牧元さんが、旅の中で出会った美味をご紹介。ガイドブックには載っていない口コミ情報が満載です。

2016.03.03(木)
文・撮影=マッキー牧元