受け取るときの“儀式”にもワクワクします

ふたの手書き文字や箱のたたずまいもフランスっぽくて素敵

 生のりんごを使うタルト・オー・ポムは季節の限られたお菓子なので、電話で予約をするのが確実です。

 以前、「今年は、タルト・オー・ポムはいつまでありますか?」と聞いたら、店主にしてパティシエの河田勝彦さんが、「それはりんごに聞いてくれ」とニッコリ笑っておっしゃいました。フランス風の粋なセリフです。

 タルト・オー・ポムを受け取るときもワクワクします。目の前で、店員さんが箱のふたに、“Tarte aux Pommes”とさらさらと書いてから、ひもをかけてくれます。

 引渡しの“儀式”のようでもあり、「よし、このタルトは私のものになった!」というゲット感もあり、なんだか嬉しくなります。

 店員さんたちは、お店で働き始めると書き文字も修業して、書き文字がさまになってきたら、お菓子を包んで引き渡すという仕事も受け持つようになるのだそうです。

 お菓子に対する誇りと愛情を感じて、そんなところも、このお店らしい、私の好きなところです。

 そんなわけで、大切な人への手みやげを何にしようかと悩んだら、ぜひ、ここのお菓子をどうぞ。もらった人も、届けた自分もうれしい気持ちになりますよ。

Column

肱岡香子のSweetsな手みやげ

フードスタイリストでお菓子大好きな著者の、豊富な“手みやげ”経験を元に、季節に応じた見目麗しいお菓子の数々をご紹介します。

2011.12.06(火)