日本人の血に訴えかける字面が満載!

伊藤 今回のシングル収録曲は4曲ですが、そのすべてが小竹正人による作詞。しかもタイトルを見ると、ちょっと今を時めくダンスユニットとは思えないような、情緒のある字面。表題曲のタイトルは「瞳の奥の銀河」、2曲目が「ラッキー7」、4曲目のサブタイトルが「初心(はつごころ)」と、Jポップ感が満載。こういう曲が若い世代にも受け入れられているということは、いくら英語の詞が多くなり洋楽志向が進んでも、日本人に流れる血を感じますね。

山口 なるほど。僕らが「歌謡」と表現するニュアンスは若い世代にも有効なんですね。今回のコラムのために、改めてFlowerの映像をYouTubeなどで観たのですが、AKB系よりも、K-POPよりも、女の子としての佇まいが魅力的だなと思いました。個人的に趣味なだけかもしれませんが(笑)。

伊藤 山口さんの女性の趣味……はじめて聞いた(笑)。

山口 ギャルメイクは苦手ですけどね(笑)。オードリー・ヘップバーン派です。って、どうでもいいか(笑)。さて、そんなJポップフレーバーを持つダンスユニットFlowerの「瞳の奥の銀河」からどんな妄想分析が浮かびましたか?

伊藤 歌舞伎町の住人になってもう何年経ったかな。マンションと仕事場の往復だけを何百回かさねたかな。実家にもいつから帰ってないかな。シラフでいるときにどれだけ自分が生きているって感じられているかな。“彼”以外にわたしの場所はあるのかな。

 今夜は行くっていうLINE。きっとお腹を空かせてくるだろうから、クックパッドをチラ見しながらシチューを作った。市販のルーを使わないやつ。きっと彼、プロっぽい味だって褒めてくれる。前に、子供のころ母親の作るシチューがご馳走だったって話していたから。パンじゃなくて、ご飯にかけるって……、変わってるって思ったから覚えてる。炊飯器が無機質な女の声で炊き上がり3分前をしらせる。

 朝4時をまわった。そろそろ店を出たはず。今日はたくさん指名あったのかな? 来月はナンバーワンになれるといいな。へんな虫はついていないかな? あんまり酔ってないといいな。まっすぐ“わたしのところ”まで来てくれるかな?

山口 妄想分析を分析するのは野暮かもしれませんが、白雪姫との類似を感じました。

Flower「瞳の奥の銀河(ミルキーウェイ)」
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ 2015年12月16日発売
形態A[CD+DVD]4,491円、形態B・C・D[CD]1,667円、形態E[CD]463円(税抜)
■Flowerは、約3万人が応募した「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3 ~For Girls~」から選ばれたメンバーを軸に結成されたダンス&ヴォーカルグループ。2011年にデビューし、翌年には所属事務所LDHの女性アーティストで構成されるE-girlsの中心的メンバーとしても活動を開始した。
■「瞳の中の銀河(ミルキーウェイ)」作詞/小竹正人 作曲/前迫潤哉、RUSH EYE、春川仁志 編曲/RUSH EYE、春川仁志
■オフィシャルサイトURL http://www.flower-ldh.jp/

【動画サイト】
「瞳の中の銀河(ミルキーウェイ)」

URL https://www.youtube.com/watch?v=dSwBUZeCqR4

2015.12.14(月)
文=山口哲一、伊藤涼