二度と同じものは作れない、奇跡のバランス!?
ピーリング美容液も数え切れないほどたくさん存在するけれど、いつの間にかファンを増やし、気がつけばひとり際立ったロングセラーになっていたのが、タカミスキンピール。これは一回で肌が剝離されるような強さはない代わりに、日々使い続けるほどに目に見えて肌のクオリティがよくなり、トラブルがなくなる。これ以上ピーリング成分の濃度が高くても低くてもいけないという、ギリギリのバランスを描いているのだ。しかもこれはクリニックの治療現場で見出された、効き目と安全性を両方クリアした究極の回答。だからあらゆる問題を抱えたあらゆる肌が、使い続けるほどにキレイになっていく。
ちなみにこのスキンピール、ともかく使い続けてほしいから、大幅に価格を下げるという大胆な決断をした。そんなに下げられるなら、なぜ今まで? という批判を覚悟で。でも実際にはそれをコスメの良心と捉えた人が多かったのは、本当に使い続けた人が素晴らしい結果を出せたから。商品への自信がそうさせたのだ。おそらくこれは5年後もっと不動のロングセラーとなっているのだろう。“スーパーロングセラー”の絶対の定義は、5年先10年先もずっと売れ続けているということなのだから。
さてスーパーロングセラーと言えば、これ。アルビオンの“スキコン”。化粧水ながら白濁しているのは、油分が含まれているから。その水分油分のバランスといい、クセになるスッとした香りといい、すべてにおいて“黄金バランス”を組み合わせた超名品。俗に“ハトムギ化粧水”とも呼ばれ、空前の大ヒットとなっている中国では、“健康水”とも呼ばれる天然成分のブレンドもまた黄金比。しかし開発者ももう二度と作れないというほどの偶然が重なって生まれた黄金比でもあるのだ。
だから何だか不思議に内から肌が整っていくような絶妙な潤いは、他に誰も真似ができないもの。何より、肌にぐるりとオールマイティに効いてしまう万能性もまた他にはないものなのだ。だからデビューから40年経とうとしているのに、今なおファンを増やし続けている。まさにスーパーロングセラー。これは黄金バランスに行きついた化粧品だけに許される称号なのである。化粧品においていちばん重要なもの、それは二度と再現できないほどのバランスの妙、なのかもしれない。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2015.11.04(水)
文=齋藤 薫
撮影=釜谷洋史