なりすましコスメには押しと引き、両方必要
下:薄膜仕上げの美しい発色と艶感、独自のスクエアな芯が唇の色や形を整え、うっとり魅惑的な唇を演出。キッカ メスメリック リップラインスティック 全3色 各2,800円/カネボウ化粧品(2015/8/19発売)
きっと多くの人が忘れてしまっているのだろう。メイクはそもそもが、模倣。美しいすっぴんを再現することがメイク本来の目的だということを。と言うより、最初から気づいていないのかもしれない。それも、模倣のための化粧品もテクニックもなかったから。でも今、事情が変わった。ここに集めた一見普通のコスメたち。でもこれらは明らかに今までの仕上がりとは違う。確かに模倣。劇的な違いではないが、実際使ってみればきっとその意味がわかるはず。
たとえば、一見リップライナーのようなキッカのリップラインスティック。言ってみれば、“口紅もつけていないのに、自然の赤みを持った少女の唇”を模倣する、まったく新しいリップアイテムなのだ。ほんのりと赤く染まった唇……その絶妙な血色と質感をひと塗りで真似てしまう、独特な薄膜が特徴。その唇、一体どうやって作ったの? と聞かれるほど、素のままの唇の美しさを模倣している。
じつはこれ、ニューヨークで活躍するメイクアップアーティスト吉川康雄氏のこだわりから生まれた逸品。モデル撮影の時、口紅はいらないけれど、素のままが美しい唇が欲しいと思うことがあったから、このアイテム作りを思い立ったのだと言う。
2015.08.03(月)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫