究極のナチュラルメイクを叶える傑作コスメ
こういうメイクものが生まれるのは、紛れもなく時代が変わる時なのだと、しみじみする。そういう目で今シーズンの市場を見てみると、確かにあった。さりげなくも確実に、すっぴん美の模倣を叶えた化粧品が。
まずYSLのベース2品は、毛穴やシワを見事に消し去りながら、艶めく皮膚感までを本気で模倣する、一歩先行く下地と質感コンシーラー。極上美肌への肌質修正力に目を見張るだろう。そして同じくヘアーメイクアーティストの西山舞さんが作ったのは、肌の内側から湧き出るほのかな血色を、チップで表面をぐるりと一回転させるだけで、簡単に模倣できてしまう緻密な仕組みを持ったチーク。ぼかしも色調整も必要ない。3つの色と質感を重ね仕上げる構造に“模倣の技”がある。
そして、まぶたの影色を同系12色の濃淡で表現したのはボビイ ブラウンのアイパレット。とても不思議だが、この色たち、はっきり言って適当にまぶたに重ねていくだけで、自然に美しい陰影が模倣できてしまう。色の抑制のきかせ方が巧みだ。
なりすましメイクには、“押しと引き”、両方必要。主張と抑制が必要だ。それが見事にクリアされた“なりすましコスメ”たちは、ただの薄付きじゃない、究極のナチュラルメイクを叶えてくれるはず。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2015.08.03(月)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫