何十年ぶりかの進化は、眉づくりのひとワザ、ひと工夫

固形のクリームは肌にのせた瞬間、クリーミィな液体状に。艶やかなきらめきで印象的な目もとにを演出。写真右から:アイ&ブロー マエストロ 4 AMBRE、同 5 AUBURN 各4,500円/ジョルジオ アルマーニ ビューティ

 おそらく、すべての化粧品の中でいちばん“歩み”の遅いのが、このアイブロウというアイテムなのだろう。もう何年も、いやもう10年20年、進化らしい進化を遂げていない。だいたいが、アイブロウとして世に出ているのは、大昔からあるアイブロウペンシルに、昭和の頃からあるアイブロウパウダー、そしてアイブロウマスカラ……その3アイテム以外には見当たらない。たまに“名品”と言われるものが登場しても、なるほど品質は良いものの、この枠の中から飛び出してこない。だから眉づくりばかりは、ずっと時計が止まったままに見えてしまうのである。

 結局のところ、眉づくりは自身の眉を再現するしかないわけで、そうなるとあまり化粧品には頼れない。ペンシルでもっともらしい眉を描きあげるか、薄い眉はブロウパウダーで眉毛のフサ感を塗りあげるかしかないから、所詮はその人その人の感性や手先に頼るしかないものなのだ。

単品で使えば端正なナチュラル眉に、トップコートとしても使えるアイブロウツール。写真上から:ディオールショウ ブロウ ジェル 2,900円、同 ブロウ スタイラー 2,900円/パルファン・クリスチャン・ディオール

 でも最近、ちょっと様子が違ってきた。なぜか今シーズンは、アイブロウの新作が多く、よく見るとどれもひとひねり、工夫のあるものばかり。たとえば、ディオールが開発したブロウジェルは、言わばアイブロウのトップコート。眉を描いたあとに上から塗って、眉の形を整えるとともに“もち”を良くするための透明ジェルなのである。もちろん単品づかいで形を整えたり、下向きの眉毛を立てたりするのに使うこともできるが、今や眉トレンドも太眉に変わっていて描き足す部分が多く、日中うっかり消えていたりすると致命的。だからこそ、こういうトップコートが生まれたのである。

2015.06.30(火)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫

CREA 2015年7月号
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この記事の掲載号

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