vol.5_KOBAKO

KOBAKOが切り拓く
「道具も主役」の時代

KOBAKOの“お道具力”を語る美しき仕事人たち。
左から:不要な甘皮やささくれを逃さずカットできるコンパクトニッパー 1,800円、つけまつげをオンする超繊細ピンセット。アイラッシュアプリケーター 2,200円、ネイルファイル(ステンレス)1,600円、アイラッシュカーラーは好みの仕上がりで選べる3タイプ。写真は2個セットの目尻用〈サイドカール 2,200〉の片方、ダントツ人気のホットアイラッシュカーラー 3,000円、ダイヤル式でミリ単位のカットが可能なダイヤルネイルクリッパー¥2,600円、極薄の刃先を実現したアイブロウシザーズ 3,500円、眉毛1本1本スッと抜くツィザー1,800円、キューティクルプッシャー 1,800円/KOBAKO(貝印)

 メイクを美しく仕上げるために道具にこだわっている人って、どれくらいいるだろう。「何を使っても同じ」「そこまでテクニックないから」なんて思っている人はぜひ読んでほしい。今回取り上げるのは、独自のお道具道を究める“KOBAKO”。包丁や爪切りで有名な「貝印」が2009年に誕生させたビューティーツールブランドである。

「美容ツールって化粧品のオマケ的なイメージを持っている方が多いと思うんです。でも、筆がいいと字が上手くなる、よい包丁を使うと料理の腕が上がると言われるように、よい道具はもっと女性をキレイにできると考えたのです。貝印はポケットナイフから始まったメーカーで、刃物を中心としたキッチン用品やグルーミング製品、医療用製品などを製造・販売してきました。そのノウハウを活かして女性に役立つ道具を作りたいと。創業100周年ということもあり、美容ツールのプレミアムブランドを目指しました」(KOBAKOブランドマネージャー 竹内けいさん)

道具がいいとメイクの質が上がるだけでなく
“失敗がないから”時短にもなる

 KOBAKOとは「キレイを叶える魔法の小箱」という意味。美しくなる可能性が詰まっているものに、と思いを込めてネーミングしたという。一品一品を、きちんと美しく見える台形の箱に納めたのも“KOBAKO=小箱”の美学。アートな花のプリントをあしらった丸い形のアイラッシュカーラーやツィザー、メイクブラシなど35の道具たちがデビューを飾った。私もいくつか愛用しているがとにかく使いやすくてデザインがおしゃれ。細部にまでこだわり抜いた設計はさすが貝印の職人技。道具がいいとメイクのクオリティが上がるだけでなく“失敗がないから”時短にもなるんだと改めて実感したものだ。

「誰にでも簡単に使えるのはもちろん、持っていてワクワクするものが嬉しいじゃないですか。そういう部分もKOBAKOらしさだと思っています。実はギフト需要も高く、使ってよかったから友人にもプレゼントしたいというお客様がとても多いんですよ」(竹内さん)

 デザインを優先すれば使いにくくなる場合もあるし、どんなに優秀な仕事をしても野暮ったいものは持ちたくない。美しさと機能、どちらも満足させてくれるのがKOBAKOの料理のうまさ。大人の女性に受け入れられているというのも納得。

「毎日が闘いですけど、貝印という確かなバックボーンがあるのは大きいですね。むずかしい相談を持っていっても開発の人間も工場の人も『できない』とは言いませんから。今ではあまりに難題を出すので社内で“鬼チーム”と呼ばれています(笑)。モノにとことんこだわって新しい形を生み出せるのはうちだけだと自負しています!」(竹内さん)

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2014.07.03(木)
文=吉田昌佐美
撮影=塚田直寛

CREA 2014年7月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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