「着うた世代」がポップな楽曲を強く支持

伊藤 さて、記念すべき40回目は来年で10周年を迎えるGReeeeN、楽曲はガリガリ君のTVCMソングです。

山口 伊藤さんはジャニーズ・エンタテイメント時代に、GReeeeNと仕事していましたよね?

伊藤 はい。彼らとは長い付き合いで、NEWSのプロデューサーをやっているときに「weeeek」という楽曲を提供してもらったんですけど、「愛唄」が大ヒットした直後ということもあって大きな反響がありました。

山口 覚えています。良い組み方だなと思った記憶があります。

伊藤 実は最初に彼らと楽曲提供の話をしたときにはまだ「愛唄」はリリースされていなくて、自分で言うのもなんですが、先見の明があったなぁと思います。その時もメンバーとは直接会うことはなく、プロデューサーJINとのリレーションでした。彼はすごく人間的に魅力的だし素晴らしいアイデアマン、音楽だけでなく色んなことにアンテナを張って、なんでも楽しくしちゃう人。今でも付き合いのあるナイスな友人です。

山口 なるほど。僕は面識がある程度で、深くお話ししたことはありませんが、音楽だけでない幅広さがあって、良い意味で勉強家だなという印象を持っています。

伊藤 でも正直言うと、彼らが売れて勢いにのった3年目くらいまでは、GReeeeNって5年持たないと思っていたんです。だって本人たちが姿を現さず、ファンはどうファンでいればいいんだ? って思いましたからね。JINは友人だけど、その辺のところ、どう乗り切ってきたか聞いたことがなかったですねぇ。いろんな仕掛けをしているのは何となくは知っていますが……どうやって10年近く続けてこれているか、山口さんはどう思いますか?

山口 そうですね。多分、ヤラセ演出ではなく本当に、メンバーに正業が別にあることと、内部の人間関係が良好なのが、破綻せずに続いている理由でしょうね。最初に決めたグループのコンセプトとキャラクターを貫きつつ、発展させている。ファンがそれを楽しみながら付いてきているという感じがします。

伊藤 なるほど。

山口 GReeeeNは、一つの時代を築いたグループで、いわゆる「着うた世代」にポップな楽曲が強く支持されたという印象を持っています。しっかり心を掴んだ上で、ファンを啓蒙している側面があるのではないでしょうか? 初めて行ったライブはGReeeeNだというファンも多い気がします。ライブの楽しみ方を教えて、良質なファンに育てている。それが上手く行っているのが、長く続けられている理由ではないですか?

伊藤 テレビなどの露出に頼らずにファンを楽しませる、これからのアーティストにはキーになる考え方かもしれませんね。

山口 今回の楽曲はどういう印象ですか?

伊藤 今までのGreeeeNの曲とはちょっと違いますね。ガリガリ君のCMタイアップがあるということで、もっとクライアントの意思を踏まえた上で面白いことやっているのかと思ったのですが、意外と真剣に音楽している。むしろ海外のアーティストにインスパイアされたような曲で、これからのGreeeeNは音楽的にも驚かせてくれるのかもしれない、と感じました。

山口 EDMの要素を取り入れながら、GReeeeNらしさも貫いて、Jポップとして仕上げているのが好印象です。普段、洋楽を聴かないようなユーザーを啓蒙するような役割も果たしてくれそうな曲ですね。

2015.08.14(金)
文=山口哲一、伊藤涼