豊年祭は、撮影はおろか内容を語ることも厳禁

サンゴを積み上げた石垣の道が続く集落。

 集落があるのは、島の西側。

 島民の数のおそらく5倍は民家が残っているのですが、サンゴの石垣で囲まれた家屋はどれも手入れがされていて、廃れた感じはありません。これらは空き家ではなくて、島の人が何よりも大切にしている豊年祭のために残されているのだそうです。祭には島出身者の9割が戻ってくるのだそう。

 この豊年祭は、写真を撮ることはもちろん、内容を語ることも禁止されています。そのこともまた、新城島が“秘島”と呼ばれているゆえんのひとつになっています。

人を見かけなかったせいか、どことなく神秘的に感じられた島の風景。

 「無人島になったら、祭も途絶えてしまうからね。一度灯が消えてしまったら、再び火を灯すのに100倍の力がかかる」と、先述の公民館館長の島仲さん。島を出れば便利な暮らしがあるけれど、ここにとどまる。島の人々の思いが胸に沁みました。

新城島
●アクセス 定期船はなく、島外からの1日ツアーに参加を。立ち入り禁止の御嶽や撮影が禁止されている場所があるので、島をよく知るガイドにお願いしたい。
●おすすめステイ先 パナリ島観光に問い合わせを
URL http://panari88.com/

古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/5世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

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2015.07.25(土)
文・撮影=古関千恵子