CREA WEBの好評連載コラム「世界極楽ビーチ百景」で海外の至福ビーチ事情をレポートし続けているビーチライター・古関千恵子さんが、特別篇として国内の厳選ビーチをおすすめします。三浦、伊豆、房総といった首都圏からのアクセスに優れた場所から、沖縄の離島や小笠原といったスペシャルな南国まで、日本が誇る10の絶品ビーチをご紹介!

#005 竹富島(沖縄県)

美しい集落を守るための厳格なルールとは?

なごみの塔から見渡した竹富島の集落。

 八重山諸島の竹富島は、石垣島から高速船で約10分、周囲約9.2キロの島です。港から集落へ入ると、まるで一気に時間が遡ったよう。“琉球”という言葉から思い描く、昔ながらの村落が今なお残されています。

約600年の歴史があるという、国の重要無形民俗文化財に指定されている種取祭。狂言や踊りなど約80の出しものが2日間かけて披露されます。
白いお面をかぶっているのがミルク(弥勒)様。東方の海から豊穣をもたらしてくれる、人気が高い神様です。

 竹富島の集落は国の重要伝統的建造物群保存地区として指定され、無作為に立っているように見える家並みにも一定のルールがあります。

 家の向きはほぼすべて南向き、一区画につき2~4軒で、ほぼ同じ面積であること。屋根は赤瓦で葺き、漆喰で固めること。母屋(ウフヤー)と煮炊きや保管をする別棟からなる造りであること。そして家屋を琉球石灰岩の石垣で囲み、周囲にフクギの防風林を植えること、など。ここで暮らすのは、家屋を維持し、景観を守り、さぞや大変なことでしょう。

 庭先のブーゲンビリアやハイビスカスが色を添える白砂の道を歩いていると、赤瓦屋根の上や門柱に鎮座しているシーサーが、他とは異なることに気づくでしょう。Vサインをしていたり、魚をくわえていたり、表情もどことなくユーモラス。悪霊を追い払うというよりも、愉快な気持ちにさせて邪気を取り去ってしまう狙いがあるのかも!?

2015.08.01(土)
文・撮影=古関千恵子