竹組みの家の中には、竈から漂うおいしそうな香りが……
はにかみながら歓迎してくれたイレーネさんとお嫁さんのグロリアさんに招かれ、竹組みの家の中に入ると、なんともおいしそうな香りが。香りの元は、薪をくべた竈でコトコトと煮込まれている伝統料理のフリホーレス(豆の煮込み)。ガス台はないが、フリホーレスを作るにはこれで十分。薪はすぐ近くの山まで取りに行くのだそう。

10畳ほどの部屋の中には、竈とベッド、織機などが置かれている。
「普段の料理は、庭で採れたとうもろこしで作る主食のトルティーヤと、このフリホーレスと野菜があれば十分。生鮮食品を保存することがないから、冷蔵庫がなくてもまったく困らないわねぇ。お肉を食べるのは、市場に行く日だけ」とイレーネさん。
ペースト状のものがフリホーレス。米やチキン料理に添えられることが多い。
市場で見かけたトルティーヤの屋台。
イレーネさんの家には、冷蔵庫も洗濯機もないが、愛用している家電製品が2つだけあった。テレビと携帯電話だ。
固定電話を引くよりはるかに安い携帯電話は、発売されたとたん、それまで電話がなかったマヤの村々に定着。といっても、携帯用ではなく、一家に一台の固定電話代わり。コーヒー農園で働いている息子さんとも、携帯電話を持つようになってから、容易に連絡がとれるようになったという。
家の中でコンセントに繋がれているのは、小さなテレビと携帯電話だけ。
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- 文・撮影=芹澤和美
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