世界を旅してきた女性トラベルライターが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたままどこにも公開しなかった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第2回は、芹澤和美さんが中米グアテマラ共和国で出会った驚きの光景。
国民的ファーストフード「ポヨ・キャンペーロ」
成田からロサンゼルス、エルサルバドルと乗り継ぎ、ようやっとたどり着いた中米のグアテマラ共和国。日本からはるか遠いこの国の名前を聞いて、とっさに思い浮かべる「食」といえば、コーヒー、お酒好きなら高級ラム酒のロンサカパ、ぐらいだろうか。もちろん、コーヒーもロンサカパも、煮込み料理やトルティーヤもおいしかったけれど、この国でもっとも人気がある食べ物、かつ私の記憶に残っている食べ物が、ファーストフード「POLLO CAMPERO(ポヨ・キャンペーロ)」のフライドチキンだ。
ポヨ・キャンペーロは、1971年にグアテマラ共和国で誕生したフライドチキンのチェーン店。中米各国では誰もが知る存在だが、現在は中米のみならず、アメリカ、スペイン、イタリア、バーレーン王国、インドネシアなどインターナショナルに展開しているグローバル企業だ。グアテマラ共和国から世界進出している企業も珍しいが、元宗主国だったスペインに進出するとは、なおのこと、おみごと。
昔から鶏肉をよく食べるグアテマラ共和国の人たち。「ポヨ・フリト」と呼ばれるフライドチキンは、レストランでも屋台でもよく見かる国民食だ。当然、ケンタッキーフライドチキンもこの国に進出したものの、ポヨ・キャンペーロのあまりの人気っぷりに、すぐさま撤退したという逸話も残る。たしかに、都市部ではマクドナルドやピザハットなど、米国資本のファーストフード店をよく見かけたが、ケンタッキーフライドチキンは一度も見ることがなかった。
店名はスペイン語で、「田舎の若鶏」の意。カウボーイハットをかぶった鶏のキャラクターがかわいらしい。店は、外壁にセットメニューのプロモーションが掲げられていたり、デリバリー用のバイクが店先に並んでいたりと、雰囲気は日本人にも馴染のあるごく普通のファーストフード。これなら旅行者も利用しやすそうだ。私も、オーダーの行列に並んでみることに。
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2013.10.08(火)
text & photographs:Kazumi Serizawa