11月より上演される舞台『シッダールタ』に出演する杉野遥亮さん。草彅剛さん演じるシッダールタを慕う、生涯の友ゴーヴィンダを演じる。多くの名優たちがリスペクトする演出家の白井晃さんの舞台に、初めて挑む。本稽古を目前に、意気込みを語ってもらった。

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「お芝居って楽しいのかも?」と初めて実感した

――杉野さんにとっては2回目の舞台出演。『シッダールタ』への出演を決められた理由は何ですか?

 草彅剛さんとご一緒できるということと、物語自体が、生きることの根源や本質に触れるものだったので惹かれました。演出家の白井晃さんとご一緒するのは初めてなのですが、自分にとっていい出会いのような予感がして、お引き受けしました。

――お芝居経験の浅い若い俳優さんが、白井さんの演出を受けられたことをきっかけに、演劇が大好きになり、定期的に舞台出演されるようになるというお話はよく聞きます。

 それ、すごくよくわかる気がします。この間、プレ稽古としてマンツーマンで白井さんとの稽古があったのですが、「お芝居って楽しいのかも?」と初めて実感しました。もちろん、これまでも瞬間的に楽しさを感じることはあったのですが、6時間の稽古があっという間だったんです。

――プレ稽古ではどんなことをなさったのですか?

 最初は僕について聞いてくださって、神社仏閣が好きなことなどをお話ししました。そのあとは実際に舞台で出すくらいの声量で本読み(台本の読み合わせ)をしました。最初は6時間と聞いて、怯んでいたのですが、何より稽古中の白井さんがすごく楽しそうなんです。まだ序盤ですけど、「なるほど、そういうことか!」と(芝居を)掴める瞬間もあって、これは(今回の舞台に対して)不安に思うよりも、楽しんでいった方がいいんだろうなと思えました。

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