#21 Ile Ouvéa
ウベア島(ニューカレドニア)

トモヨ・ビーチで波が来るたびにジャンプを繰り返す女の子。

島を自転車で探検すれば原田知世になった気分?

 ニューカレドニアの名前を日本に浸透させたきっかけは、森村桂のベストセラー旅行記『天国にいちばん近い島』の存在でしょう。たとえその本を読んでいなくても、タイトルだけは聞いたことがある人も多いはず。昭和世代なら、原田知世主演の同名映画も記憶に残っているのでは?

 その舞台となったのが、ニューカレドニアのロイヤリティ諸島の西のはずれに位置する、ウベア島です。全長45キロの大きな弓形の島で、最も狭いところで幅40メートルくらい。島はほぼ一本道で貫かれています。北部のサン・ジョセフの村まで行くには車が便利ですが、リゾートのある南部の名所を回るなら自転車で十分。地図が不要なくらい、わかりやすい島です。

空から見下ろすムリ橋。ラグーンの美しさは天国級! (C) ニューカレドニア観光局

 島は西側に光り輝く穏やかなラグーンが広がり、フリルのようなさざ波が打ち寄せる女性的なイメージ。一方の東側は神様が宿る海。こちらは大切な儀式のときに族長が捧げ物の魚を獲るために入る以外、遊泳は禁止されているそうです。

島の狭い部分では幅が約40メートル。ほぼ一本道なので、道に迷うことはまずありません。

 さぁ、リゾートから自転車で探検に出発! まずは絶景ポイントのムリ橋へ。

 ウベア島は西側に大きく孤を描いた約20キロメートル以上もの白砂ビーチがのびているのですが、ここからのビーチの眺望が一番との呼び声も。たしかにこの眺めを前にすれば、“天国にいちばん近い”に偽りなし! と、納得がゆくことでしょう。いわば、島のハイライト的スポットです。

適当に脇道からビーチへ。絶品ビーチにしばらくいても、風景の変化は犬が通り過ぎるくらい。

 道の両側に草木が茂る一本道から、気が向くままに西方向の脇道へ入ると、カジュアリーナの木々の先に一気に海が開けます。誰の足跡も付いていない細やかな白砂ビーチに座ってラグーンをしばらく眺めていても、時折、犬が通り過ぎるくらいで、ほぼ貸し切り状態。時間の流れが、ここだけ緩やかなテンポのよう。

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2014.08.30(土)
文・撮影=古関千恵子