道端で牙を光らせた巨大な野豚に遭遇!
さらに自転車で進んでいくと、伝統的な“カーズ”という家屋の前でミッションローブ(ハワイでいうところのムームー)の村人たちがお祭りの準備をしているのを目にしたり、並木道が美しいムリ教会に出くわしたり。南洋ののどかな風景が広がっています。
その穏やかな空気を、元気いっぱいにかき乱してくれる(?)のが、パワフルな子供たち。言葉が通じようが通じまいがおかまいなしに話しかけてきて、「写真を撮って!」とポーズでアピールしてきます。しかも次から次へと子供たちが集まってきて、かなりの人だかりに。数人ずつ撮影するにもキリがないので、デジカメを貸してあげたのですが、後から画像をチェックすると自由かつ斬新な作風に思わず笑みがこぼれました。
ちなみに、これは映画のロケ地になったことからその名が付けられたトモヨ・ビーチでのこと。この騒ぎを見物していた大人の一人から「このビーチは有名な女優の名前なのよ、知っている?」と聞かれ、原田知世さんに憧れる私としては嬉しくなってしまいました。
ふたたび自転車を漕いで、南東部のレキンの断崖へ。神の海だからか、どことなく聖なる気が満ちているよう。岩肌を露出した絶壁に向かって手を叩くと、こだまのように音が反響するのも不思議な感じがします。
この帰り道、なんと道端に横たわる野豚と一対一で遭遇。私の身長くらいのサイズ(心象的には『もののけ姫』のイノシシ級)だし、鋭い牙が天に向かって生えてる! 怒らせないよう、音を立てずにそろりそろりと遠回りして、あとは自転車のペダルを全力で漕いで逃げ帰りました。今となっては、あの野豚は神の使いだったのかも……と思ったり、写真に撮ればよかったと後悔もしているのですが、あの瞬間にそんな余裕はありませぬ。
大きな南洋の自然以外、何もないような島ですが、ゆったりとした気持ちになったり、テンションがアップしたり、震えあがったり(!?)。自転車でめぐるウベア島には、冒険が満載されています。
ウベア島
●アクセス ヌメアのマジェンタ空港から国内線で約35分
●おすすめステイ先 パラディ・ド・ウベア
URL http://www.paradisouvea.com/
古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/5世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/
Column
古関千恵子の世界極楽ビーチ百景
一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!
2014.08.30(土)
文・撮影=古関千恵子