フリーダとディエゴの芸術家夫妻が暮らした「青の家」

 フリーダとディエゴは1939年に一度離婚、翌年に再婚。フリーダが47歳で人生の幕を閉じるまで二人が過ごしたのが、メキシコシティ郊外にある青い壁の邸宅だ。通称、「青の家」と呼ばれるその建物は現在、「フリーダ・カーロ・ミュージアム」として、公開されている。館が立つのは、コヨアカンという地区。メキシコシティの中心地からは地下鉄を乗り継ぎ、駅からだいぶ離れた高級住宅街の中にあった。

旅行者にとっては不便なロケーションながら、朝から見学客ですでに長蛇の列。

 激しくぶつかり合ったフリーダとディエゴ。そんな二人が暮らした家のカラーが、赤色ではなく青色というのは、ちょっと不思議な感じもした。でも、訪れてみて納得。壁の青は、爽やかさとはほど遠い濃厚なブルーで、インパクトはかなり強烈。室内は、赤や黄色、緑色の配色がなされていて、メキシコの自由な色彩の中に飛び込んだかのよう。

メキシカン・フォーク・アートを思わせるキッチンの家具や小物たち。

 家の中は、二人が暮らしていた当時の様子が再現され、フリーダの作品はもちろん、彼女の洋服や日用品もそのまま展示されている。なんと、フリーダのベッドルームには、彼女のデスマスクも。鮮明な青で迎えられ、色彩の中をゆっくりと歩きながら、不自由な身体で情熱的に生きた女性の人生を、しっかりと感じることができた。

フリーダのアトリエもそのまま再現。傍らには使用していた車いすもあった。

2014.07.15(火)
文・撮影=芹澤和美