【あの曲】「今でも、高校生の頃を思い出します」(出口さん)
10代のころに聴いていた音楽はありますかと聞くと二人はしばらく考え込み、出口さんがまず口を開いた。
「何かエピソードがあるわけじゃないんですけど、高校生の時に、平井大さんの曲をずっと聴いていました。平井大さんの曲を聴くと、高校生の頃を思い出しますね」(出口)
続けて平井さんの魅力も教えてくれた。
「すごく爽やかな、海を感じられるような曲調が好きで。夜に聴くのがおすすめです」(出口)
【あの曲】「青春の思い出というのとは全然違うけど」(南さん)
一方、南さんの十代を彩っていたのは、ラップだったという。
「今も好きですが、10代の終わりくらいからラップを聴いていましたね。いわゆる“青春の思い出”というのとは違うかもしれませんが、よく聴いていました。きっかけは、フリースタイルラップで出演者が競い合うTV番組を観たことだったと思います。ラップバトルって、面白いんですよ」(南)
南さんが映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』で演じた朴秀美も、読書家であるとともにラッパーを夢見る人物だ。作中、南さんのラップシーンがあるが、演じる中で、聴いているのとはまた違うラップの魅力を感じたのだろうか。
「ラッパーって、自分の生い立ちを歌にすることが多いじゃないですか。だから朴のラップにはすごく朴らしさが出るんだなと思いました」(南)
映画の終盤、南さんが一人でラップを歌う圧巻のシーンがあるが、このシーンはなんと撮影の途中で追加されることが決まったシーン。しかも児山隆監督からリリックを渡されたのは、撮影の三日前だったそう。
「監督もすごく苦労して書いていらして。私は一週間くらい前からラストに新しいシーンが挟まることは聞いていたんですが、なかなかリリックをもらえなくて「あれ、まだかな」「もう四日後だよな」とは思ってました(笑)。でもそのおかげで、あの最後は本当に素敵なシーンになったなと思いますね」(南)
南さんと出口さんは終始なごやかなムードで楽しそうに話してくれ、二人の間には不思議な調和が生まれていた。別々の時間を過ごしてきた二人の人生がここで交わるから、まだ観たことのない、あたらしい魅力を持つ作品が生まれるのだろう。
『万事快調〈オール・グリーンズ〉』
原作:波木銅「万事快調〈オール・グリーンズ〉」(文春文庫)
監督・脚本:児山隆
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2026「万事快調」製作委員会
2026年1月16日(金)全国公開
南沙良(みなみ・さら)
2002年6月11日生まれ。映画『幼な子われらに生まれ』(2017年)で俳優デビュー。初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18年)で、報知映画賞、ブルーリボン賞他、数々の映画賞を受賞。近年の主な出演作品に、Netflixシリーズ「わかっていても the shapes of love」(24年)、主演映画「愛されなくても別に」(25年)、NHK大河ドラマ『光る君へ』(24年)など。主演映画『禍禍女』が公開を控えている。
出口夏希(でぐち・なつき)
2001年10月4日生まれ。近年の主な出演作品にNetflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』(2023年)、連続ドラマW-30『アオハライド』(23年)、Netflix映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』(24年)、映画『赤羽骨子のボディガード』(24年)、主演映画『か「」く「」し「」ご「」と「』(25年)など。2025年にはヨコハマ映画祭にて新人賞、エルシネマアワードでライジングスター賞を受賞。
衣装クレジット
[出口さん]
ニット275,000円、スカート581,900円/ともにエトロ(エトロ ジャパン 03-3406-2655)、ブーツ132,000円/ノダレト(アマン 03-6805-0527)ピアス(右耳)38,500円、ピアス(左耳) 154,000円、リング(右手人差し指) 66,000円、リング(右手中指) 77,000円/ともにビジュードエム(ビジュードエム六本木ヒルズ 03-6271-5353)
Column
気になる人のあの本、あの曲、あの味
俳優、ミュージシャン、クリエイター、作家……いまをときめく方々に「日々自分らしくあるために」大切に読んでいるもの、聴いているもの、飲み、食べているものを、思い出とともに伺います。
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- staff
- 文=文春文庫編集部
撮影=平松市聖
ヘアメイク=竹島健二(南さん)、井手真紗子(出口さん)
スタイリスト=梅田一秀(南さん)、道端亜未(出口さん)
