本を2冊読み終えたころ……

 それから、どれくらいの時間が経ったのでしょう。その和室には壁掛け時計がありましたが、電池が切れているのか針は14時20分辺りで止まったままでした。

 Yさんは新たな妄想の街の中でまた怪獣を大暴れさせることにしたそうですが、それも長くは続きませんでした。すぐに布団の上に倒された怪獣を放置すると、代わりに着物のおばさんが言っていた数冊の古いなぞなぞ本に手を伸ばしました。

「本をこんな風にしちゃダメなのに……」

 シミや破れのあるハードカバーの表紙に座りを悪くしたYさんでしたが、読み始めるとあっという間に夢中になり、気がつけば1時間ほど読みふけっていたそうです。

 2冊目を読み終えた辺りで寝転がったままパタリと本を閉じました。

 あの大きな部屋には親戚の人がたくさんいるみたいだけど、僕と同じような小学生はいないのかな。そういえば、この屋敷に来てから僕以外の子どもは見かけなかった……じゃあ、この本は誰の物なんだ。結構古い本みたいだけど――そんなことを天井から吊り下げられているランプを見つめながら考えたYさん。

 なんだか、急に心細さを感じたそうです。

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