この記事の連載

快適な瀬戸内海の夜!

 船のビュッフェは充実していて、セルフサービスの生ビールサーバーもあって、楽しく食事する。

 周りの乗客は、スポーツ競技で遠征している地方の学校の若者たちや、乗りなれている家族づれや親戚仲間、という感じの人が多かった。

 ホットプレートやカセットコンロなどの調理器具を持ち込まないでください、というポスターを見て、なるほど、確かにここならみんなで食材を持ち込んで鍋パーティをやってもいいよなあ、と思ってしまったくらいだ。

 午後九時を回る頃、明石海峡大橋をくぐるとのアナウンス。

 皆でデッキに出て、ライトアップされた明石海峡大橋を堪能する。

 遠く明石の町の明かりが見えて、「海の道」を進んでいることを実感。

 ラウンジも綺麗でとても快適。我々は、その後、編集者Hさんが買い込んできてくれたワイン等で部屋呑みを決行した。

 瀬戸内海くらいだったら、今どきもう全部カバーされているだろう、と思っていたので、携帯電話のアンテナが立たないエリアがあったことに、逆にびっくりした。

 家具が固定されているのが唯一船らしいところで、ごっごっごっごっ、という鈍いエンジン音も気にならなかった。むしろ、この頃、ややギックリ腰気味だったので、電気鍼の治療を受けているような感じ。

 朝はラウンジでゆっくり海を眺めつつコーヒーを飲む。

 私は入らなかったが、展望風呂も景色が見えて気持ちよかったそうだ。

 門司の港に入り、下船は八時半。トラックや車で乗り込んでいる人は、いちはやく下船の準備に入っているようである。

 我々も、下船口に並ぶ列に加わり、門司上陸を待つばかりとなった。

旧堺燈台(大阪府堺市)

所在地 堺市堺区大浜北町5丁地先
アクセス 南海線「堺駅」下車 徒歩で堺旧港方面へ
灯台の高さ 11.3m
初点灯 明治10年

堺旧港の突端に位置する、高さ11.3mの燈台。洋式木造燈台として初点灯は1877(明治10)年。国内で最も古いもののひとつとして、1972(昭和47)年に国の史跡に指定された。

海と灯台プロジェクト

「灯台」を中心に地域の海の記憶を掘り起こし、地域と地域、日本と世界をつなぎ、これまでにはない異分野・異業種との連携も含めて、新しい海洋体験を創造していく事業で、「日本財団 海と日本プロジェクト」の一環として実施しています。
https://toudai.uminohi.jp/

◎物語を通して「海」の未来を考える

2025年7月21日の海の日に、作家の伊与原新さんが、直木賞受賞作『藍を継ぐ海』を起点に、「自然と共に生きるとは何か」「未来の海を守るためにできることは?」など、日本財団「海と日本プロジェクト」で、3万件以上の取組を手がけてきた海のプロフェッショナル・海野光行さんと対談。小説×科学×社会が交差した1時間は、inter fmラジオ番組「OCEAN BLINDNESS」9月7日(日)10:00~10:40にて放送予定です。

オール讀物 2025年 9・10 月号 「総力特集」第173回直木賞発表該当作なし [雑誌]

定価 1,500円(税込)
文藝春秋
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

← この連載をはじめから読む

2025.09.17(水)
文=恩田 陸
写真=橋本 篤
出典=「オール讀物」2025年9・10月号