雪山や砂漠など「過酷な環境」でも使えるモバイルバッテリー
一般的なリチウムイオン電池式のバッテリーは、本体の破損によって容易に発火するのに対して、ナトリウムイオン電池を使用した本製品は、釘を刺しても発火しにくいという耐久性の高さが大きなメリットです。
また、−35℃~50℃という幅広い温度環境に対応しているため、昨今の猛暑でも、気温による本体の温度上昇を心配する必要がありません。さすがに車の中に長時間放置しておくなど、極度の高温環境にさらしたままにするのは望ましくありませんが、メーカーでは砂漠やスキー場、冬山などの環境でも使えるとアピールしているほどです。

こうしたことから本製品は、リチウムイオン電池式のモバイルバッテリーのような「うっかり落とすなどの強い衝撃がきっかけで発火」「高温の環境に放置していたところ膨張して炎上」といった、昨今よくニュースになるような事故を起こす確率が、極めて低いことが大きな売りです。
このほか「最大5000回」の繰り返し利用に対応しているのも特徴です。一般的なモバイルバッテリーは300~500回の充電で寿命を迎えることが多く、本製品はそれと比較して約10倍程度というケタ違いの寿命です。メーカーでは「毎日使っても約13年間使える」とアピールしています。
ちなみに、ナトリウムイオン電池と同じくリチウムイオン電池の代替として名前が挙がることが多い「リン酸鉄電池」も、やはり繰り返し利用できる回数の多さが特徴ですが、その回数は約1000回。ナトリウムイオン電池を採用した本製品には遠くおよびません。
一方で、弱点も……
このように、リチウムイオン式のモバイルバッテリーに比べて数多くのメリットを備える本製品ですが、メーカー曰く「ナトリウムイオン電池を採用したモバイルバッテリーとしては世界初の製品」ということもあり、まだ技術的な点でいくつかの弱点もあります。
2025.08.31(日)
文=山口真弘