今年1月に日本で公開された『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』は、日本における香港映画としては近年にない大ヒットを記録。同作で九龍城砦を束ねる理髪店店主、龍兄貴(龍大兄)こと龍捲風を演じたルイス・クーにとっても、新たな代表作となった。

 筆者がルイスに初めてインタビューをしたのは、『エレクション 黒社会』がカンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映された2005年のこと。国際的な映画祭への初参加に緊張していたのか、とてもシャイな印象を受けた。

 あれから20年。今もそのシャイな横顔は残っているものの、香港映画界を背負って立つ人間としての大きさを強く感じさせる、まさに“兄貴”感溢れるインタビューとなった。

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『トワイライト・ウォリアーズ』はなぜ日本でヒットしたのか?

――ルイスさんは長年、ジャンルを問わず香港映画界で活躍しています。個人的にずっとあなたの作品を追いかけて観てきて、あなたが香港映画の潮流を作っているようにも思えるんです。香港映画界というものを背負っているというか。

 なんというか、香港映画人としての責任は感じています。

 実際に私は今、香港映画界のいくつかの協会の会長を務めていますし(芸能人の組合である香港演藝人協會と、映画人の組合である香港電影工作者連盟の会長。さらに映画編集者協會の名誉会長でもある)、自分自身でも製作者として香港で映画会社(One Cool Group/天下一集團有限公司。制作のOne Cool Film Productionはじめ、配給、ポスプロ、芸能事務所などがある)を持っています。

 今後、私としては香港映画界の人材を育てていきたい。後輩たちの役に立ちたいと思っているのは確かです。

――『風林火山』にも、One Cool Groupが関わっていますね。

 会社としてはあくまでポスト・プロダクションの担当としての参加です。プロデュースや出資とかには一切関係していないんですよ。この映画に関しては、あくまで私は役者として参加しました。

――ところで、日本では『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が大ヒットしました。香港映画としては近年にない盛り上がりで、ルイスさんも2月に日本で舞台挨拶をされた時にその興奮を味わったと思いますが、この作品がここまで日本の観客を惹きつけた理由について、どのように考えていらっしゃいますか?

 おそらくですが、日本の方から見ても、あの頃の世界に対して懐かしい感覚というか、親しみのようなものがあったんだと思うんです。そしてコロナ禍を経たことで、やっぱりみんな家族について考えるようになったのではないでしょうか。

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』は、兄弟の絆や、家族の感情をとても強く描いている作品です。そういったものが現代の観客からも共感を得られたから、ではないでしょうか。

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