龍捲風のコスプレをしたファンを見て……

――日本に来た時に、ご覧になったと思いますが、ルイスさんが演じた龍兄貴こと龍捲風になりきっている人をはじめ、コスプレをしてきていたファンがたくさんいました。中でも女性ファンがとても多かった印象です。

 自分の記憶の中で、このような熱狂的な光景が見られたのは、それこそ80年代にジョン・ウー監督が生み出した『男たちの挽歌』(1986)の頃まで遡らないとならない気がしますね。

 とにかく本当にこの作品を好きでなければ、そこまでのことはしないと思うので、熱い気持ちに突き動かされての行動じゃないでしょうか。(筆者註:『男たちの挽歌』では、チョウ・ユンファのロングコートにサングラス姿で二丁拳銃を構える姿が、世界中の映画ファンの心を捉え、映画コスプレの定番となっている)

――最後に、ルイスさんが香港映画の未来をどのように考えているか、伺えますか?

 ……(ちょっと困ったように苦笑い)。

――カンヌでも香港映画の顔として登場されていましたし、香港映画祭でも今年はルイスさんの特集上映が行われました。香港映画人を束ねる連盟のリーダーでもあるルイスさんの思いをお聞きしたいです。

 実は『風林火山』も、去年の『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』も、どこか共通したテーマが流れているんですね。つまり、上の世代の人間が、若い世代に何かを継承していくというもの。私自身も、それが本当に大事なことだと思っています。

 だから香港映画界において自分の使命というものがあるとしたら、若手の監督をはじめとして、映画業界のいろいろな立場の人たちに、そんなふうに何かを繋いでいけたらと思いますね。

ルイス・クー Louis Koo(古天樂)

1970年10月21日生まれ。香港出身。ジョニー・トー監督作品の顔として『柔道龍虎房』(2004)、『エレクション 黒社会』(2005)、『エレクション 死の報復』(2006)、『独身の行方』(2011)、『高海抜の恋』(2012)、『ドラッグ・ウォー 毒戦』(2013)など、犯罪映画からラブコメまで多くの同監督作品に出演。このほか、『オーバー・サマー 爆裂刑事』(1999)、『恋するブラジャー大作戦』(2001)、『アクシデント』(2008)、『レクイエム 最後の銃弾』(2013)、『未来戦記』(2022)、など出演作多数。プロデューサーとしても活躍。長年、無冠の帝王と言われていたが『SPL 狼たちの処刑台』(2017)で香港のアカデミー賞と言われる金像奨で、主演男優賞を受賞した。