単行本未収録原稿を無料公開!
『きみは赤ちゃん』の前半部分、出産編は、CREA WEBの姉妹サイト「本の話WEB」に連載されました。そのWEB連載(本の話WEB)の最終回に、川上さんが書いた読者へのメッセージを再掲載します。文章中、「刊行は4月のはじめごろ」となっていますが、川上さんの執筆に熱が込もり、実際は7月になりました。
『きみは赤ちゃん』(最終回)
ありがとうとお知らせ 文=川上未映子
早いもので連載も最終回。
いままで読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました。ああ、あっというまで淋しいな。始めるまえは「こんなん毎週毎週13枚とかそんなもん、できるんかいな」と震えていたのですが、やってみればできてしまい、なんとかこのときを迎えることができました。
詳細なメモや日記はずうっとつけていたのですが、それをほとんど読み返すこともなく、毎週、「ああ、こんなことがあった、あんなこともあった」と頭やからだで思い返しながら当時のことを書き連ねてゆく作業は、このときにしかできない、わたしにとってとくべつな意味と愉しさをもつ、とくべつな時間になりました。本当に、ありがとうございました。
これにて、「きみは赤ちゃん」の妊娠・出産編は完結したのですが、もちろん赤ちゃんにかんしてはそれだけで終わるわけもなく、育児、というか、赤ちゃんが生まれてからについても書きたいことが山ほどあって、困っております。というか、妊娠・出産のことを書いておいてその後のことを書かずに放っておける自信がないというか、なんというか。
喧嘩が激増し、文字通り最悪になってゆく夫婦関係のこと。
赤ちゃんと過ごす夢のような時間のこと。
からだのこと。
何もかもが、とてもとても、難しいこと。
仕事と育児の不安、心配、よろこびその他いろいろなこと。
書きたいこと、読んでほしいことがこれもうたくさんあって、今からなんだかそわそわ&わくわくしております。
というわけで、妊娠・出産編の連載は今回で終了したのですが、育児編もつづけて書きたいと思っております、次第です。
そこでお知らせなのですけれども、来年4月のはじめごろ。
この連載でお読みいただいた妊娠・出産編にくわえほぼおなじ分量の育児編をあらたにこの年末までに書き下ろし(ひえー)、合わせて1冊にしたものを刊行できたら、と思っています。
タイトルはもちろん「きみは赤ちゃん」。
妊娠から出産までの1年を綴った<できたら、こうなった>を前編、そして、出産から1歳までの1年の<うんだら、こうなった>を後編に、そして、まえがき、あとがき、をくわえ、2年をまるっとまとめた1冊を予定しております(連載で書きそびれたことなどもたくさん加筆し、ほかにも色々と盛り込めないか、いま考え中)。
いま現在、このお知らせを書いているのは11月3日なのだけど、この1カ月で後半をどどーんと書き下ろしたいと思っています。どうかみなさま、最後までお付き合いいただけると、ほんとうにうれしいです。がんばります。
この4カ月、みなさまのご感想に励まされて、最終回まで書くことができました。心から感謝申し上げます。妊娠&出産は、とても個人的なことだけれども、どうじにたくさんの人の体験と考え方にかかわる、とてもデリケートな出来事です。面白かったことやうれしかったことも書いてるけど、でもやっぱ痛いことやしんどいことばっかり書いてるなあ、読んだ人が必要以上に不安になったりするかもしれないなあ、うう……など、悩みはつきませんでしたが、みなさんが「いや、案ずるな。そのままいけ」と色んなところ、色んな機会に伝えてくださったおかげで、そこのところを信じて書き進めることができました。本当に感謝しています。ありがとう、ありがとう。
それでは、この連載はいったん終了しますが、また4月に! 今度は単行本でふたたびお目にかかれるのを楽しみにしています。しばしのお別れですが、さらにパワーアップしてもどってきますので、どうか、どうか楽しみにしていてください! 刊行についてはこちらのサイトではもちろん、わたしのブログでもお知らせいたしますのでまめにチェックをよろしくお願いいたします!
それでは、わたしは書き下ろしの旅にでます(書斎にいますが)。それまで(それからも)みんな、がんばってね&がんばろう。じゃあまたね。春にね。
次回以降は、川上さんとママ友・ミガンさんの爆笑対談をお届けします。
Column
川上未映子の出産・育児お悩み相談室
『乳と卵』で芥川賞を受賞した川上未映子さんは、2013年、同じく芥川賞作家である阿部和重さんとの間に男の子を授かりました。その経験を綴った本が、『きみは赤ちゃん』。この刊行を記念して、川上さんが、読者のみなさんの出産・育児に関する悩みにお答えします!
2014.06.20(金)