勝政美紀さん
家族:夫、温(はる)くん6歳、寛太(かんた)くん9カ月

会社名:有限会社モーハウス http://mo-house.net/ 青山ショップ
肩書き:店長
仕事:店頭での接客、発注、在庫管理、スタッフの勤務管理などの業務や生産企画

 にこやかに迎えてくれた勝政さんは、おしゃれな街にふさわしいスマートな女性だった。青山に子連れで出勤し、日中ずっと子どもを傍らに見ながら仕事をしているという。

 勝政さんが青山ショップの店長を務めるモーハウスは、日本で初めて授乳服の制作販売を始めた会社だ。授乳期の母親が、人の目を気にして行動範囲が狭くなることのないよう授乳服を開発。育児を楽しむためのイベントや講演情報を発信する活動拠点となっている。

 勝政さんとモーハウスとの出会いは、第1子妊娠中のこと。青山のモーハウスに買い物に出かけ、そこでスリングで子どもを抱っこしながら接客をしているスタッフを初めて見た。それは衝撃と言ってもいいほどのインパクトを勝政さんに与えた。「子連れで働いて、いいの!?」。

 その後、出産前に前職をやめ専業主婦となって子育てをしていた勝政さん。「働きたいけど、子どもの成長を間近で見ていたい」という気持ちでなかなか前に進めなかった。しかし、長男が生後7カ月になったとき、モーハウスがスタッフを募集していることを知り、迷わず応募し、採用された。

 長男は、1歳5カ月で保育施設に預け始めるまで、“子連れ出勤”でともに通勤。2009年には、働きぶりを認められ店長になった。

 2012年、第2子を妊娠。産前産後3カ月の産休を経て2013年9月に店長として復帰した。

 現在は店頭での接客のほか、発注、在庫管理、スタッフの勤務管理などの業務や生産企画まで携わる。お店に出るのは週に3回程度だが、それ以外の時間も自宅で作業をしたり、つくばにある本社での会議に出席したり、精力的に仕事をこなしている。

お店の一角で、遊ぶ。

 職場に託児施設があるわけでもないのに、子連れで仕事ができるものなのだろうか?

 モーハウスは子育て中の女性を中心とした組織運営をしており、子連れで仕事ができる環境が整っている。店内スタッフは、子連れとそうでないスタッフが必ずセットになるように配置して、フォローできる体制を組む。スタッフは全員母親だから、さっと子どもをみてくれたり、休まざるを得ないときでもいやな顔ひとつせずシフトをかわってもらえるのがありがたい。お客さまの目も温かい。

モーハウス青山ショップ。

 取材中も、遊びたがる寛太くんをほかのスタッフがひょいと抱いてあやす様子がとても自然だった。

 寛太くんは、たくさんのお客さんやスタッフといつもかかわっているので、人見知りもほとんどないとか。モーハウスの子連れ出勤で育てられた子どもたちは、よく店の手伝いもし、親の仕事に理解を示してくれるそうだ。親が働くすぐ近くに子どもがいる、ひと昔前なら日本のどこにでも当たり前にあった光景なのだろう。

<次のページ> 生野菜の冷凍でスピードと甘味をアップ

2014.05.18(日)
文・撮影=HITOMINA