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「お腹空かせ」にぴったりな場所
さて今回のハワイ旅、ワイキキビーチが目の前のホテル「ハレクラニ」に泊まれたので、隙あらば泳いでもいた。おいしく旅するなら、「次の食事までにしっかり空腹に」は鉄則。せっかくのハワイ、三食を満喫したい。

ワイキキビーチには地下から真水が湧き出る所があり、海水と混じり合う一帯は「カヴェへヴェへ」と呼ばれ、ハワイでも指折りのパワースポットなのだそう。ハレクラニのちょうど前あたり。ハワイに関する著書の多いライターの永田さち子氏によれば、「ハワイアンが“癒しの海”として崇める」場所で、「その流れに身を任せて浮かんでいると、邪悪な心とか、体のなかの悪いものが流されていくよう」とある(『ソロ旅HAWAII』産業編集センター)。
カヴェへヴェへとはハワイ語で病の除去、という意味もあるらしく、いにしえの時代はここに浸かって病気や怪我の快復を祈ったのだそうな。このエリアで泳ぎ、時に身をまかせて浮かんでみる。あれ……雑念が湧いてこない。変な表現だけど、自分が「無音」になる感じがして、それがひたすらに快い。これもカヴェへヴェへの“ごりやく”なんだろうか。
そんなことを考えながら漂っていたら、やがて空は夕暮れに。橙や茜やブラウン系の様々な色が雄大に広がって、空が木星の表面みたいだった。あのパノラマを思い出すとなんだか、今も泣けてくる。


最後に、「お腹空かせ」に好適な場所をもうひとつ。フォスター植物園の散策をおすすめしたい。ワイキキ中心部からはトロリーバスを利用して行くこともできる(チケットを購入すると1日乗り降り自由)。
ここがねえー……よかったんだ! 信じられないような巨木、そして未知の花にたくさん出会えて。広すぎない園内は散歩にぴったり、鳥の声があちこちから聞かれ、蝶も出迎えてくれるはず。


キャノンボールツリーの不思議な造形には、思わず笑ってしまう。たくさんのつるが幹からモジャモジャと伸びて、その名のとおりボール状の実がいっぱい。なんじゃこりゃあ、と目を丸くしながらしばし眺めた。

信じがたい大きさのカポックの木にも驚嘆。太いなんてもんじゃない幹に手をまわして額を幹に付け、ここまでの成長に必要な年月のとてつもない長さに思いを馳せた。うーーん、巨樹から英気をもらったなあ。ここも一種のパワースポットに思える。
パワースポットといえば、植物園の近くにはなんと出雲大社の分院も。こちらでお守りなどをおみやげに買うのもいい。

2025.08.06(水)
文・撮影=白央篤司