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野菜をたっぷり食べたい朝はべジー・ベーグル
◆アイランド・ヴィンテージ・ワインバー

ワイキキの中心部、ロイヤルハワイアンセンターの2階にある「アイランド・ヴィンテージ・ワインバー」は、名前のとおりワインバーなのだけれど朝7時から営業していて、朝食スポットとしてもかなりの人気。

アスパラガスやハムを具に、アプリコットジャムがアクセントのエッグベネディクトや、ステーキがのったロコモコもいいけれど、「べジー・ベーグル」のおいしさが記憶に残る。アボカド、トマト、スプラウトのコンビネーションがよく、ナッツとひまわりの種が敷き詰められたベーグルがとてもおいしい。「野菜が食べたい!」という気持ちのときにぴったりだと思う。

「白央さん、お酒好きでしょ! ここのリリコイ・ミモザはおいいしいのー、ぜひ試してみて。朝から飲めるよ!」とコーディネーターの本間律江さんが弾む声で教えてくれる。在ハワイ35年の彼女は大の食いしん坊、ハワイ中のおいしいものに詳しい人だ(CREAでも以前にハワイ記事を寄稿)。
律江さんにそう言われたら、朝とはいえど試したい。リリコイはハワイの言葉でパッションフルーツ、そのすっきりした酸味が加わったミモザ(シャンパーニュ×オレンジジュース)は、リゾートの朝をリッチに演出する素敵なアイテムだった。
リリコイは料理にもよく使われ、果汁を加えたドレッシングはハワイのサラダではおなじみのよう。清々しい酸味とほどよい甘みがよく、果汁をオリーブオイルと一緒に、鶏とセロリの和えものなんかにしたらいいだろうな……とひとり旅先で夢想。
そうそう、この店で印象的だったことがもうひとつ。店員さんたちが皆アロハシャツを着ているのだけれど、胸元に大きな蜘蛛の巣のタトゥを入れた女性がいたこと。谷崎潤一郎の小説『刺青』を瞬間的に思い出したが(あちらは背中だけれども)、その彼女の感じはなんとも陽気にカジュアルで、映画では若尾文子が体現したあの妖しい雰囲気はまるでなく、ハワイと日本の違いを何か端的に見せつけられたような気がして忘れられないのだった。
アイランド・ヴィンテージ・ワインバー
https://www.islandvintagecoffee.com/en-hi/pages/island-vintage-wine-bar
2025.08.06(水)
文・撮影=白央篤司