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 今年も猛暑が続きますが、暑さに負けずに元気な姿を見せてくれる動物の子どもたち。今回はよこはま動物園ズーラシア(以下、ズーラシア)へ、ホッキョクグマとフランソワルトンの親子に会いに行ってきました。

 後篇となる今回は、今年4月に生まれたばかりのフランソワルトンの2頭の子どもたちをご紹介します。

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オレンジ色の赤ちゃんミントとダイダイ、元気に成長中

 ズーラシアでは、今春、新たな命が誕生しました。フランソワルトンの「ミント」(メス)と「ダイダイ」(オス)です。

 フランソワルトンとはベトナム北部から中国南部に生息する霊長類の仲間。全身が黒い毛で覆われている中で、耳あたりから口元にかけて白い毛があり、頭の先の毛がとんがっています。また、木の葉を主食としているので“リーフイーター”とも呼ばれ、葉を食べるのに適した草食動物のような消化器官を持つという特徴があります。

 ズーラシアへ伺った日、展示場に出ていたのは、今年4月12日に産まれたミント。オレンジ色なので、どこにいてもすぐに見つかります。基本、お母さんのチョコのそばにいますが、展示場を動き回る様子も。かと思えば、観覧場所から見えにくい場所で、チョコに抱かれてじーっとしている姿も見られました。

 飼育担当の桒原暖佳さんに詳しいお話を伺いました。

 生まれたばかりの赤ちゃんはオレンジの毛で覆われていますが、そのオレンジの割合は赤ちゃんによって違いがあるそう。桒原さんが書いたズーラシアの公式ブログを見ると、産まれたばかりの頃から黒い毛が混ざっているミントと比べ、ダイダイは鮮やかなオレンジ色の毛の部分が多い印象です。

「ミントとダイダイは私が飼育担当となって2頭目、3頭目となる赤ちゃんなのですが、オレンジの色の割合には個性があります。あのオレンジ色は成獣の子守り行動を引き起こすと言われているので、おそらくですが、群れの仲間たちは本能的にオレンジ色の小さい子は守らなきゃいけないと思って大事にしているんだと思います。

 フランソワルトンは野生の場合、1頭のオスと複数のメスで群れを作って生活します。ズーラシアでは群れを3つに分けていて、一番大きな群れは優位なオスに対して2頭の成獣のメスという構成だったのですが、生まれた子どもたちにオスが多くて。

 ミントはお父さんのタンタンとお母さんのチョコだけの群れで、ダイダイはお父さんのトントンとお母さんのアマナツ、トントンの妹にあたるモカがいる群れで生まれました」(以下、すべて桒原さん)

2025.08.09(土)
文=高本亜紀
写真=松本輝一