韓国で生まれたジャイアントパンダのフーバオ(福宝)が2024年4月3日に中国へ渡ってから約1年。フーバオが韓国で過ごした最後の3カ月間を追った韓国映画『私の親愛なるフーバオ』が韓国での上映を経て、4月18日(金)から日本で公開されます。製作するうえで工夫したことや難しかったことなどをシム・ヒョンジュン監督に聞きました。(※以下、映画の内容のネタバレを含みます)

フーバオは、コロナ禍の2020年7月20日に韓国のテーマパーク「エバーランド」で誕生したメスのパンダ。繁殖のため、4歳になる前に中国へ行くことが中国側との間で決まっていました。
――なぜ映画のテーマにフーバオを選んだのですか。
実は私が選択したのではなく、監督として私を選んでいただきました。最初はフーバオについてあまり詳しく知らず、自分に監督が務まるかな?と思いました。でも、いろいろと勉強していく中で、フーバオの魅力を知りました。しかも、献身的にパンダたちをお世話している飼育員の方々がいて、パンダたちとの強い絆や、その物語に魅了されました。こうしたことから、この映画でしか描けない物語を撮影しようと決意し、監督を引き受けました。
――フーバオのどんなところが魅力だと思いましたか。
パンダは非常に賢い動物ですよね。また、韓国の多くの人たちは、赤ちゃんパンダを見たことがなかったのですが、韓国で初めて生まれた赤ちゃんパンダのフーバオを見て、そのかわいらしさに夢中になりました。フーバオは成長しても、その賢さと愛らしさを保っています。そうしたところが非常に魅力的だと思いました。

――飼育員の方に対しては、どのように考えましたか。
飼育員の方々は、スティックなどの撮影道具を持ち歩き、「バオファミリー」(フーバオ、両親のアイバオとローバオ、妹のルイバオとフイバオの5頭すべての名前に「バオ」がつくことによる一家の総称)の細かい部分まで、YouTubeで公開し続けてくれました。パンダそのものも魅力的ですが、それを多くの方に伝えようと努力していた飼育員の方々も魅力的だと思いました。
――フーバオは韓国でとても人気になりました。どうしてだと分析していますか。
まずはフーバオの魅力が理由ですが、フーバオが生まれてすぐに、皆さんがファンになったわけではないと思います。フーバオの存在を知らない人たちが大勢いたからです。その後、フーバオが韓国を離れてしまうと知って、YouTubeの映像などを見返し、こんなにかわいいパンダと別れるのは悲しいと、皆さんがさらに関心を向けたのでしょう。私もその中の一人です。
2025.04.18(金)
文=中川美帆