
東京・上野動物園で暮らす3歳のジャイアントパンダの前に、職員が糞を柵越しに投入する動画。観覧者が1月下旬に撮影したこの動画をSNSにアップすると「どういう意味があるんだろう?」「おやつはダメだよと諦めてもらうため?」など、さまざまな見方が投稿されました。
これは、においによる環境エンリッチメント(限られた飼育環境で、動物が心身ともに、より健康に生活できるようにする取り組み)。野生のパンダに比べ、行動範囲が限られ、運動量や刺激の少ない飼育下のパンダの健康に配慮した取り組みなのです。
与える糞は、ほかのパンダの糞。上野動物園にいるパンダは、オスのシャオシャオ(暁暁)とメスのレイレイ(蕾蕾)の双子だけです。どのパンダの糞を双子に与えたのか同園に尋ねたところ、冷凍保存していたリーリー(力力)とシンシン(真真)の糞とのことでした。この2頭は双子の父母で、2024年9月に中国へ帰りました(参照:『リーリーとシンシン帰国1カ月間ドキュメント』)。


シナモンや紅茶のにおいも嗅がせた
上野動物園では糞のほか、さまざまな食品のにおいでも環境エンリッチメントを実施しています。シナモンやクミンといったハーブのほか、紅茶なども用いました。においは、どうやって嗅がせるのでしょう。
2025.03.20(木)
文=中川美帆