この記事の連載
- リーリー・シンシン帰国 #1
- リーリー・シンシン帰国 #2
13年7カ月ぶりに中国へ
上野動物園にいた19歳のジャイアントパンダ、オスのリーリー(力力)とメスのシンシン(真真)が約13年7カ月ぶりに中国へ帰りました。
2頭が上野動物園を出発したのは9月29日(日)。夜明け前で2頭は寝ていましたが、飼育係が作業を始めたり明かりをつけたりすると、午前3時過ぎに起きました。飼育係は声をかけながら、輸送箱の中にゆっくりと2頭を誘導。輸送箱に入ったら、水やリンゴ、ニンジン、パンダ団子を少しあげて落ち着かせ、トラックにのせました。最初はシンシン、次がリーリー。トラックの中は約20度に保たれました。パンダは暑さが苦手です。
外は真っ暗。筆者が取材のため園内で待機していると、午前4時ごろ、2頭をのせた阪急阪神エクスプレスのトラックがパンダの飼育エリアから出てきました。後ろに乗用車2台が続き、最後尾は警察の車がガードしながら、成田空港に向かって走り去りました(警察の車は高速道路の手前まで)。
2頭の長女・シャンシャン(香香)が昨年2月21日に中国へ渡ったときは、飛行機の出発時刻とシャンシャンの中国での住みかを上野動物園が事前に公表しましたが、今回は非公開。中国側との申し合わせと安全確保のためです。最近、中国へパンダを送り出した、あるいは送り出す予定の他国の動物園も、事前の情報開示を控える傾向にあります。
リーリーとシンシンは午前5時30分ごろ成田空港に到着。輸出通関などを終えると、2頭が入った輸送箱は、チャーター便の中国・順豊航空の貨物機に搭載されました。この間、2頭が興奮する様子はなかったそうです。過去にも移動経験があるためかもしれません。阪急阪神エクスプレスは、上野動物園から中国・四川省の成都双流空港までの輸送をサポート。この2社が関わるのは、シャンシャンの渡航時と同じです(参照「シャンシャン中国輸送大作戦の舞台裏」)。
2024.10.06(日)
文=中川美帆