この記事の連載
- リーリー・シンシン帰国 #1
- リーリー・シンシン帰国 #2
成田空港の展望デッキには見送る人がたくさん
筆者が午前6時半過ぎに成田空港の展望デッキへ行くと、2頭を見送る人がたくさん来ていました。貨物機は午前8時ごろ離陸。展望デッキでは約500人が空を見上げ、貨物機が視界から消えるまで見つめていました。
機内で2頭の健康状態などを確認するため、貨物機には、上野動物園でパンダを担当している西園飼育展示係の齋藤圭史担当係長と、中国ジャイアントパンダ保護研究センター(以下、パンダセンター)の獣医師1人が搭乗。シャンシャンの渡航時は、同乗した上野動物園の冨田恭正副園長兼飼育展示課長(現在は副園長兼教育普及課長)と齋藤係長が電車で成田空港へ向かいましたが、今回は早朝で適切な電車が運行していないのでタクシーで行きました。
2頭の帰国をサポートするため、パンダセンターは中国から経験豊かな獣医師1人と飼育員1人を派遣。2人は9月23日(月)に上野動物園に来て、同園の専門家らと一緒に2頭の健康診断などを行いました。
上野動物園によると、2頭を運ぶ貨物機は、乗務員以外の座席が2人分しかないので、パンダセンターの2人のうち飼育員は他の飛行機で中国に戻りました。上野動物園の鈴木仁飼育展示課長と獣医師も他の飛行機に乗り、2頭の輸送に先行して、中国に到着しておきました。
2頭の「機内食」として積み込んだのは、主食の竹のほか、リンゴ、ナシ、ニンジン、パンダ団子。機内の温度は17~18度に設定しました。飛行中、2頭は落ち着いていたそうです。
貨物機は成都双流空港に12時40分ごろ(日本時間)着陸。2頭はそこからトラックに移され、四川省にあるパンダセンターの雅安碧峰峡基地へ午後6時(日本時間)に到着しました。ここで1カ月間、隔離されて検疫を受けます。上野動物園の職員は検疫施設に入れないので、パンダセンターの職員に対し、飼育管理状況について綿密に引き継ぎをしました。
パンダセンターによると、2頭の高血圧などに関し、専門家チームが治療と健康管理の計画を作るなどしているそうです。ちなみにシャンシャンも昨年、雅安碧峰峡基地で検疫を受けて、現在も基地内で暮らしています(参照「中国ではシャンシャン見放題? 初公開から3日後の様子をレポート」)。
2024.10.06(日)
文=中川美帆