「20cmほどに切った消防ホースに、においの素材を付けて使っています。糞は解凍し、丸のまま使ったり、崩して使ったりしました」(上野動物園の職員)。
においに対して、双子はどう反応するかというと、「どの素材も一度は、においを嗅ぎます。ただし、素材のにおいが気になって嗅いでいるのか、『何かあるけどなんだ?』と嗅いでいるかは不明です。その後、ものによっては消防ホースを体に擦り付ける場合もあります」(同)。
上野動物園は、双子の反応を確かめながら、より良い環境エンリッチメントにしていく方針です。
世界でも珍しい若いパンダの血圧測定

健康管理のための取り組みは、ほかにもあります。その一つが「ハズバンダリートレーニング」。動物に自発的に行動させるための訓練です。これができるようなれば、人間は、猛獣であるパンダの体を安全にさわりながら、パンダにとって少ないストレスで健康を管理できます。
ハズバンダリートレーニングの結果、レイレイは2024年11月20日、シャオシャオは同年12月2日に初めて血圧測定をすることができました。2頭の血圧は、正常値とされる140~160mmHgに近い値で、血圧に問題ないことが確認されています。なお、両親のリーリーとシンシンが予定よりも早く帰国したのは、高血圧が確認されたことなどが理由でした。
2025.03.20(木)
文=中川美帆