中国の施設でも撮影を

――日本の飼育施設でも、検疫中のパンダのエリアは、ごく限られた人しか入ることができません。映画には、フーバオが中国・四川省にある施設(中国ジャイアントパンダ保護研究センターの臥龍神樹坪基地)へ行ってからの様子も映っています。こちらは提供された映像ではなく、ご自身が撮影されたのですか。

 はい。私と撮影監督の2人だけで現地へ行って、撮影しました。

――フーバオの渡航に同行したカン・チョルウォンさんが中国の施設において、お母様の葬儀の途中で中国へ来たことを伝え「難しいお願いですが、フーバオに直接会わせてもらえませんか」と懇願するシーンがあります。こちらも監督が撮影を?

 はい。隣の席にいました。

――そうなのですね。日本を含め世界各国からもパンダを中国へ送り出していますが、同行した飼育員の方が中国の施設に到着しても、パンダの検疫エリアに入ることは難しいそうなので、カン・チョルウォンさんが入るシーンは驚きました。

 私も、その時期に検疫エリアに入ることは、本当に簡単ではないという認識なのですが、あのときは異例で、現地の方々が許可をしてくださり、感謝しています。

――映画を通じて伝えたいメッセージをお聞かせください。

 本当に心温まる、美しい映画になっていると思います。フーバオのことが元々好きだった皆さんには、必ず満足していただけると思いますし、もしフーバオのことを知らなかったとしても、感動し、楽しんでいただけると確信しています。

 私がフーバオと一緒に過ごした日々は、まさに感動的で、夢のような日々でした。そんな私の気持ちを映画に込めました。この気持ちが日本のファンの皆さんにも伝われば嬉しく思います。

『私の親愛なるフーバオ』

4月18日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
監督:シム・ヒョンジュン、トーマス・コー
出演:フーバオ、アイバオ、ローバオ、ルイバオ、フイバオ、カン・チョルウォン、ソン・ヨングァン
2024/韓国/韓国語/カラー/94分 配給:ファインフィルムズ 映倫:G 東京都推奨映画
原題:안녕, 할부지
©2024 ACOMMZ and EVERLAND RESORT. All rights reserved HP:fubao-movie.com

監督:シム・ヒョンジュン

写真家、ミュージックビデオ監督としてキャリアをスタートさせたアーティスト。映画だけでなく、TVシリーズ作品、アートディレクターなど、幅広い分野で活躍している。『私の親愛なるフーバオ』では、観客がストーリーを追いながら、飼育員たちにシンプルに深く共感することを意図しており、観客もまた、彼の心に響いた飼育員たちの純粋な気持ちを感じてくれるはずだと語る。

FILMOGRAPHY
「プレーヤー2~彼らの戦争~」(2024)
「Moo No Plan(英題)」(2024)
「The Butterfly Dream(英題)」(2022)短編
「ジェシカ&クリスタル~USロードトリップ~」(2021)など

2025.04.18(金)
文=中川美帆