この記事の連載
長崎の“泊まれる新スポット”
長崎・軍艦島 世界遺産クルーズ
◆洋風建築が美しい「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」

続いて紹介するのは、2024年12月に開業した「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」。ホテルが建つ南山手地区はかつて外国人居留地であり、世界遺産の構成資産「旧グラバー住宅」や国宝「大浦天主堂」など幕末から明治時代にかけての洋風建物が現存している。

周辺は、国の重要伝統的建造物群保存地区になっていて、ホテル建物もそのひとつ。1898年にフランス人宣教師の設計で修道院として建設され、児童養護施設などとして地域に親しまれたのち、森トラストが引き継ぎ、イギリスの「インディゴ」ブランドのホテルとして生まれ変わったのだ。

赤レンガやアーチ窓、ステンドグラスなどの文明開化の歴史を色濃く映すデザインはそのままにリノベーション。建物に一歩踏み入れると、異国情緒ただよう長崎独自の「和・華・蘭(わからん)」文化を感じさせる家具やインテリアなどの空間づくりが印象的だ。客室は、スタンダードやプレミアム、スイートなど計10タイプがある。

ホテル内のレストラン「カテドレクラ」は、かつて聖堂として使われていたという高い天井にステンドグラスが美しい空間だ。朝食、ランチ、ディナーとそれぞれ地元食材を楽しむメニューを提供。ディナーのシグネチャーディナーコース「Blanche(ブランシュ)」は、厳選された長崎の魚介や和牛などを使った「多彩な文化が交わり進化したフュージョン料理」(ホテルスタッフ)が自慢だという。

オープンからまだ数カ月だが、長崎独自文化が織りなす空間を楽しみたいと、国内外から多くの来館があるそうで、「ホテルを目的地として幅広い顧客層にお越しいただいています」(ホテルスタッフ)とのこと。デザインコンセプトの「時空を旅する和華蘭ラビリンス」のとおり、今昔と文化融合を旅するホテルは、感性を刺激してくれる。


2025.03.08(土)
文=一ノ瀬伸
写真=釜谷洋史