南部の街ゴールで贅沢スローライフを満喫
アーユルヴェーダを終え、生まれ変わった(?)心身で向かったのは、南部の街ゴール。ヤシの木が両側に生い茂る道をひたすら行き、やっとたどり着いたのは、木々の香りと鮮やかな熱帯の花に包まれたスモールホテル、「アパ・ヴィラ・イルケティア」。建物は、200年前に建てられた紅茶農園のプランテーションハウスを改装したものだ。
このヴィラでの一番の楽しみは、何もしないこと。美しい水田に隣接するゲストルームでは、夜は風の音だけを聞きながら眠り、朝は小鳥のさえずりで目を覚ます。日中に聞こえるのは、お茶をのんびりと楽しむ村人の声や、風に揺れる葉の音ぐらいだ。自然のリズムと調和しながら過ごす時間は、アーユルヴェーダで癒された心身を、さらに元気にしてくれた。
右:スタッフのさりげない気遣いも心地いい。
そしてもうひとつの楽しみが、オーガニック食材をふんだんにとりいれた食事だ。広大な庭で育てたハーブを使い、スリランカ人シェフが作る伝統的なスリランカ料理は、スパイスを使っているはずなのに優しく、どこか懐かしい味。派手さはないが、庭に咲く花をあしらった食卓の演出にも、心をくすぐられる。
Apa Villa Illuketia (アパ・ヴィラ・イルケティア)
所在地 Wanchawala,Illuketia, Galle, Sri Lanka
電話番号 +94-91-228-3320
URL http://www.villa-srilanka.com/apailluketia/
ほかに、アーユルヴェーダを体験できるとびきりのラグジュアリーといえば、ゴールにある「アマンガラ」。1865年に開業し、多くのセレブリティに愛されたホテル・ニュー・オリエンタルを改築したこのホテルは、当時のクラシカルな雰囲気をそのままに、古き良き時代の輝きを漂わせている。
ヒーリングに重点を置いたトリートメントハウスは、心身をニュートラルな状態に戻せる空間。ここでは、漢方薬を学んだセラピストによるアーユルヴェーダで体を癒し、屋外のメディテーションハウスで、風と空気を感じながらヨガに興じ、瞑想にふける。ここで味わったのは、最新設備のフィットネスでは体感することのできない、心地よさと開放感だった。
AMANGALLA (アマンガラ)
所在地 10 Church Street, Fort,Galle, Sri Lanka
電話番号 +94-91-223-3388
URL http://www.amanresorts.com/amangalla/home.aspx
スリランカで8日間を過ごし、帰国。アーユルヴェーダとスローライフで癒された心身も、日常に戻るなり、不規則な食生活や慌ただしいサイクルに戻されてしまった。だが、しばらくは、「髪と肌のツヤ、いいね」「なんか、いい人になったみたい」と周囲から言われていたので、確実にスリランカでの効果はあったのだと思う。
芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn
Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
2014.05.20(火)
文・撮影=芹澤和美