世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第34回は、芹澤和美さんがスリランカで堪能した究極の癒しについて。

ラグジュアリーホテルでスピリチュアルな世界を体験

 スリランカ。その国の名は、現地の言葉(シンハラ語)で「光り輝く島」を意味する。マルコ・ポーロも「世界で一番素晴らしい場所」と称えたスリランカは、その名のとおり、北海道の8割しかない国土に、手つかずの自然や美しい海岸線、文化遺産、紅茶に宝石、スパイスなど、たくさんの魅力を擁している。

ビーチでのんびりと遊ぶ家族連れ。こんなのどかな光景は、宝石にも負けないスリランカの至宝。

 油を抑え野菜を多用した食事や、のんびりとしたライフスタイルから、スリランカはスローライフの国とも言われている。それがもっとも顕著にあらわれているのが、アーユルヴェーダだ。アーユルヴェーダは、体内にあるエネルギーバランスをゆっくりと整える伝承医学。日本ではエステティックとしてとらえられがちだが、スリランカでは、治療と予防のためのもの、と考えられている。

スリランカは美人が多く、子どもたちも人懐っこい。これもスローライフの効果かもしれない。

 スリランカには、ツーリスト向けのアーユルヴェーダ施設がいくつかある。西海岸のリゾート、ニゴンボにある「ジェットウィング・アーユルヴェーダ・パビリオンズ」は、アーユルヴェーダの施術を一番の目的とした宿泊施設。といっても、病院や診療所ではなく、すべて庭付きのヴィラの客室からなる、ラグジュアリーなホテルだ。

アーユルヴェーダを施した後は、庭で鳴く鳥の声を聞きながら、瀟洒なヴィラで過ごす。

 アーユルヴェーダは、ドクターによる診察(視診、問診、脈診)から始まる。体格や体重、髪質や手足の長さまで細くドクターがチェックし、その結果、その人にあったトリートメントのプロダクト(オイルやハーブ)や食事内容が決められるのだ。

左:専門医による診察結果が記された紙は、そのままキッチンへ。これでランチやディナーのメニューが決まる。
右:アーユルヴェーダは、ヴィラのプライベートガーデンの中で行われる。

 アーユルヴェーダと聞いて想像するのが、「額にオイルをたらーっと垂らす」、あの光景。これは「シロダーラ」といって、一定量、一定温度のオイルを額に垂らし、ゆっくりと浸透させていくことで、中枢神経の疲れを癒すトリートメントだ。問診、全身マッサージの後、いよいよシロダーラが始まる。

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2014.05.20(火)
文・撮影=芹澤和美