この記事の連載

 冬になると毎日のように駄菓子屋で肉まんを買い、肉まんねーちゃんというあだ名までつけられてしまった幼少期。フードライターになっておののいたのは、横浜中華街で出合った本格中華な肉まんたち。皮も具も傑作揃いで、一度食べたらコンビニ肉まんに戻れなくなるほどの肉まんパラダイス。

 しかし横浜中華街は、何十軒あるんだ!? というほど肉まんであふれる街。何を食べればいいのか迷ってしまう人も多いですよね。そこで肉まん好きライターが、間違いのない王道の名店を厳選してご紹介します!


◆北京飯店の「五目肉まん」

 中華まんで人気No1.の「五目肉まん」は、とにかく具沢山! ごろっとした角煮に竹の子やしいたけ、青菜などの野菜など、具がぎっしり詰まっています。肉は6時間かけてとろっとやわらかくなるまで煮込み、1日寝かせているので味もしみっしみ。

 皮はふわふわでもしっとりでもなく、みっちりむぎゅっ! しっかりとした食べ応えと、ほのかな小麦の甘さが肉餡をこよなくおいしく引き立ててくれます。中国の中でも北京は小麦粉(饅頭・マントウ)を主食とするエリア、だからこそ北京料理の老舗による生地作りには絶対の安心感が。

 味のしみた角煮と野菜、それを包むしっかりとした皮。おやつな位置づけの肉まんですが、この「五目肉まん」は一品料理を食べ終えたような深い満足感に満たされます。

 今冬に登場した新作「ドラゴンパオ」にも注目を。粗挽きの北島豚に唐辛子と花椒を効かせた四川風な味わいで、アツアツを頬張れば痺れる辛さが口いっぱいに広がって、思わず「辛ッ! ウマッ!」と声を上げてしまいます。シャキシャキとしたクワイの食感も絶妙で、ほかでは食べられない新機軸な感じの肉まん。ちょっとクセになりそうな味わいです。

 生地がとにかく旨いので、具なしの中華パンといった「花巻」もよく売れているそう。花巻は主食として、好きなおかずと一緒に食べてもおいしいですよ。甘党には、とにかくかわいい「桃まん」がおすすめ。なつめが香る黒あんと、はすの実を使った白あんの2種類が味わえます。

北京飯店(ペキンハンテン)

所在地 神奈川県横浜市中区山下町79-5
電話番号 045-681-3535
営業時間 11:30~21:00(売店)
定休日 無休
アクセス みなとみらい線元町・中華街駅より徒歩1分
https://pekinghanten.com

2025.02.08(土)
文=嶺月香里
写真=鈴木七絵