浅野 そう。そのレストランで食事しながら話していたら、あっという間に意気投合して、その日から、二人で家にも帰らず遊び呆けることになった。
人数は? ナポレオン党との関係は?
近田 そこから、順子さんもクレオパトラ党の一員になったってわけね。クレオパトラ党って、総勢何人ぐらいだったの?
浅野 せいぜい6人ぐらい。ナポレオン党だって、せいぜい10人とかじゃない?
近田 あっ、そんなもんなんだ。もっと大所帯だったのかと思ってたよ。
浅野 よく勘違いされるんだけど、クレオパトラ党のメンバーは、別にナポレオン党の男どもの彼女ってことでもなかったのよ。一緒にドライブしたりはするものの、ただ単に友達。だって、N党の面々は、わざわざ私たちと付き合わなくても、よその女の子を引っかけて上手いことやってたから(笑)。
近田 ナポレオン党もクレオパトラ党も、世間では不良と呼ばれていたけど、後年登場する暴走族とかヤンキーみたいに下世話でドメスティックな集団とはニュアンスが違ったよね。
浅野 そうそう。美学があったし、スマートに遊んでましたよ。ナポレオン党は、車を持ってるぐらいだから、ちょっとした小金持ちの息子が多かったしね。
近田 昔は、バンドにしたってそうだったよ。ある程度の経済力に恵まれた家の子じゃないと、高価な楽器を買えないし、今みたいに貸しスタジオもなかったから、家が広くないと練習場所も確保できなかった。
浅野 まあ、女の子の方は、いい車持ってる男をつかまえればいいだけのこと。でも、クレオパトラ党もさ、言葉は悪いけど、いわゆるズベ公とは違ったのよ。
近田 今で言う反社、つまり暴力団みたいな組織とのつながりもなかったんでしょ。
2025.01.25(土)
文=下井草 秀
撮影=佐藤 亘