行列のできるスーパー「さいち」の名物おはぎ
チェックアウト後は、秋保ならではの魅力あふれるスポットをめぐりましょう。
「主婦の店 さいち」は、秋保温泉の小さなスーパー。なのに駐車場は第4まであり、土日ともなれば朝9時の開店前に100人もの行列ができるという脅威の繁盛店です。
看板商品は自家製の「秋保おはぎ」。代表の佐藤浩一郎さんによると、「40年ほど前、近所のおばあちゃんから『お彼岸やお盆で里帰りする孫たちにおはぎを食べさせたいけれど、うまくできないから作ってほしい』と頼まれた母が、試作を重ねて売り始めました」とのこと。
それが口コミで人気となり、いまでは1日平均7000個、行楽シーズンの休日には1万5000個が売れるという“日本一おはぎを売る店”に。地元の人はもちろん、遠方からおはぎを目当てに訪れる人、もちろん観光客にも大人気です。
どっしり重く大きなおはぎは、あんこ、ごま、きなこ、納豆(10~5月限定)の4種類。どれも1個175円で2個入りまたは3個入り。1個入りがないのは、「絶対もう1個食べたくなるから」です。
いちばん人気はもちろん、あんこ。ひと口目はご飯に届くかどうか、というくらいの、たっぷりとしたつぶあんに包まれています。甘さはやや控えめで、宮城県産のもち米「みやこがね」とうるち米をブレンドしたご飯は、ほどよく粒感を残した“半殺し”。おやつというより食事的な食べ応えです。
「毎日炊いているあんこは、あずきたっぷり、砂糖は控えめで保存料などの添加物は一切使っていません。そのほかのおはぎもすべて賞味期限は当日中なので、早めに食べてくださいね」と、佐藤さん。お土産にするなら、帰る直前に立ち寄るのが良さそうです。
限定販売の納豆おはぎは、全国的に知られる宮城の「川口納豆」を使用。大葉とねぎの薬味、めんつゆの風味が食欲をそそり、クセになる味わいです。また、おはぎと同じく人気なのが、手作りのお惣菜。
具材ごとに別々の鍋で煮る煮物、季節の素材を使った混ぜご飯、ごぼうとにんじんを太めに切ったキンピラ、手作りのカレー……みんなが大好きな家庭の味がズラーッと並ぶ様子は圧巻です。
主婦の店 さいち
所在地 宮城県仙台市太白区秋保町湯元字薬師23
電話番号 022-398-2101
営業時間 9:00~19:00
定休日 第2・4水曜(8月は第4のみ、12月は第2のみ。祝日の場合は営業)、1/1~4
築160年の古民家レストランで体に優しいランチ
「アキウ舎」は、築160年超の古民家をリノベーションしたカフェレストラン。県内の農家が育てた野菜や米などを使ったヘルシーなランチが評判です。
いちばん人気の「アキウ舎ランチ」は、前日・当日に届く新鮮な地場野菜や、宮城県産鶏肉のローストを盛り合わせたワンプレート。自家農園で育てているというハーブやスパイスが、素材の持ち味を風味豊かに引き立てています。
このほか、畑に見立てたタコライスなど、見た目に楽しく味わい深いメニューがずらり。
スイーツも秋保ならではの素材使ったり、自然・歴史をイメージしたもの。「秋保採石ショコラ」はその筆頭で、この地で採れる秋保石に見立てたクランチショコラを木槌で割りながら食べるという、ユニークな一品です。
秋保の魅力の発信地・交流拠点として
そもそも「アキウ舎」は、「(秋保石を運ぶために開通した秋保電鉄の)秋保温泉駅があった当時のにぎわいを取り戻したい」という人々の思いからスタートした施設。運営を手掛ける㈱秋保ツーリズムファクトリー代表・千葉大貴さんは、地域の住民同士や観光客との交流拠点としてこの建物に着目したといいます。
「かつては町長さんの住まいで、除(のぞき)という地名から『除(のぞき)屋敷』と呼ばれていた建物です。地域の寄り合いの場として、暮らしの中のさまざまな話し合いや相談、伝統芸能の舞台としても使われてきた歴史があり、そのストーリーに惹かれました。
久しく人が住んでいなかったため、誰に聞いても『建て直したほうが早いし安い』と言われましたが、地域の方の心の拠り所だったこの建物を、秋保の未来をつくる拠点にできたらと考え、再生することに決めました」と、千葉さん。
最近では、ワイナリーやクラフトビールの醸造所、ガラスや皮製品の工房、個性的なカフェやレストランなど、「自然の豊かな場所で好きな仕事をし、地域の役に立ちたい」という人たちが集まってきている秋保。
カフェ・レストラン以外にも、音楽や農業を交えた地域のイベントを随時開催しながら、秋保の魅力・情報を発信している「アキウ舎」は、あなたの次なる居場所や第2の故郷の入口になるかもしれません。
アキウ舎
所在地 宮城県仙台市太白区秋保町湯元字除9-4
電話番号 022-724-7767(予約不可)
営業時間 11:00~17:00(フード14:30L.O.、カフェ16:00L.O.)
定休日 火曜(祝日の場合は営業、翌平日休)、年末年始
https://akiusha.jp/
2024.12.08(日)
文=伊藤由起
写真=志水 隆、伊藤由起
写真協力=界