この記事の連載
「リゾナーレ八ヶ岳」【前篇】
「リゾナーレ八ヶ岳」【後篇】
![提携する「ドメーヌ ミエ・イケノ」(写真)ほか、山梨・長野ワインの魅力を存分に。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/b/1280wm/img_2bfb07c668716ea3d60024d42d304362221467.jpg)
首都圏から車で約2時間。八ヶ岳南麓の「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」(山梨県北杜市)は、国内屈指のワインリゾート。前篇では、土地のワインをテロワールごと味わうアクティビティ、ワイン好きのための特別なゲストルーム、ワインと野菜をふんだんに使った料理のマリアージュをご紹介します。
![ブドウ畑を前に土地のワインと軽食を楽しむアクティビティ「葡萄畑アペロ」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/6/1280wm/img_26700220a5b7e5dcfa491a72a3fd118c149494.jpg)
ワインが生まれるブドウ畑でアペロを
リゾナーレ八ヶ岳のある山梨県北杜市は、個性豊かな小規模ワイナリーが多く点在する、いま注目のエリアです。日照時間が日本一長く、降雨量は少なめで、朝晩と昼の寒暖差が大きいというブドウ栽培に向いた条件が揃い、2008年には日本で最初のワイン特区(※)に認定されています。
そんな地域の特性を生かしたアクティビティが「葡萄畑アペロ」(毎週金・土・日曜、祝日15:40~16:50開催、参加費は大人1人4,500円。8月31日まで)。アペロとは、夕食前にお酒や軽食を楽しむフランスの習慣です。
※酒税法の例外的な規定で、一定条件下での小規模生産が可能な地域。
![白樺の群生とブドウ農園が隣合う八ヶ岳南麓ならではの風景。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/4/1280wm/img_54f6d913ec276c672c808a29677ec452295871.jpg)
アペロの会場は、ホテルから車で10分弱の「小牧ヴィンヤード」。北に八ヶ岳、南に甲斐駒ヶ岳を望む、なだらかな傾斜地にブドウ畑が広がり、シニアソムリエとしての経験も豊富なオーナーの小牧康伸さんとご家族が迎えてくれます。
ちなみにヴィンヤードは、主にワイン用のブドウを栽培する農園を指す、フランス由来の英造語。こちらでもメルロー、カベルネソーヴィニヨン、バルベーラ、ソーヴィニヨン・ブランを中心に栽培しています。
畑を案内してくれる小牧さんのお話は、ブドウの品種や栽培に関することだけでなく、畑に咲く花や昆虫たち、周囲の山々で楽しむ登山のこと、星空の素晴らしさ、この地の歴史や縄文遺跡に至るまで幅広く、ワイン好きはもちろん、初心者や飲めない人も飽きさせません。さすがベテランソムリエ。
![帝国ホテルや大使公邸などで40年以上ワインをサービスしてきたオーナーの小牧康伸さん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/2/1280wm/img_82fdfef801ab951d45f895154a77041a138639.jpg)
![取材時(春)のブドウ畑は選定作業の真っ只中。5月、6月で一気に芽吹き緑が繁っていく。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/0/1280wm/img_40ee7c095a2f752454385c392fddfaee201613.jpg)
畑見学のあとは、お楽しみの試飲タイム。白は畑の前に設えたテーブルで、赤は英国製のコンサバティー(サンルーム)で、小淵沢産のチーズとともにいただきます。ワインはいずれも小牧ヴィンヤードのブドウでつくられたオリジナルで、アルコールが苦手な方には、同じブドウでつくられたジュースも用意されています。
![開放感いっぱいのブドウ畑と、周囲を取り巻く山々を一望する特等席。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/4/1280wm/img_440ea22cb171e8006d8fe8862dd53657150390.jpg)
![ソーヴィニヨン・ブラン100%の「プロローグ ブラン」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/5/1280wm/img_f583c175b7255937f5278d1a2c1e24e0100707.jpg)
![ブドウ畑を望むコンサバトリーに場所を移して赤ワインを。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/4/1280wm/img_94128c998937ee8ac5b00f91d30aeb7d199765.jpg)
![メルローとカベルネ・フランの「プロローグ ルージュ スペシャル」と小淵沢産のチーズ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/0/1280wm/img_405232996635cf1a7df7da97899e0cd085261.jpg)
![ワイン用のブドウでつくられたジュースもあり、車のドライバーや妊婦さんも安心。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/7/1280wm/img_37b38b94d18f4d867d97f9bd368d4dca77785.jpg)
「ワインは、ブドウの品種や生育環境、その年の出来具合に味が左右される、もっとも自然なアルコール飲料。だからこそ土壌にこだわり、無農薬、無化学肥料で、大切にブドウを育てています」と、小牧さん。
そんなふうに丹精を込めた畑で、テロワールを感じながらいただくワインは、格別のおいしさ。来年は敷地内に待望のワイン醸造所を立ち上げる予定とのことで、今後の展開が楽しみです。
2024.05.10(金)
文=伊藤由起
写真=志水 隆